「エンジンのオイル上がりは見極めるのは難しい」と思う方は多いでしょう。しかし、そのままにしておくと、エンジンの不具合を招く恐れがあります。
オイル上がりに早く気づき、正しい対処をするために、症状や原因を知っておくことは重要です。ぜひ最後まで読んで、異常がないか確認してみましょう。
目次
エンジンのオイル上がりとは?
オイル上がりとは、ピストンとシリンダーと呼ばれる部品の間からエンジンオイルがすり抜けてしまう現象を指します。ピストンリングの摩耗やシリンダーの傷があると、発生する可能性が高まります。
オイル上がりが起きている状態は正常ではありません。そのまま放置すると、エンジンの不具合を起こす可能性が高まります。
次項で、症状・対処法・原因などを解説するため、愛車を長く使うために確認しておきましょう。
オイル上がりの症状にはどんなものがある?
発生する症状は、主に以下の2つです。
- 白煙がマフラーから出る
- エンジンオイルの減りが早くなる
どのような症状が起きるのか知ることでオイル上がりに早く気付けるかもしれません。これらの症状について、以下で詳しく解説します。
症状①白煙がマフラーから出る
オイル上がりの症状といえば「マフラーから白い煙が出る」ことが多くの方に知られています。
しかし、マフラーから白煙が出るだけでは、オイル上がりかどうかは判断できません。
オイル上がりで白煙が出るタイミングは以下の通りです。
- エンジンの始動時
- エンジンを高回転させて時
- 坂道でエンジンブレーキをかけた時
基本的に「エンジンの回転数を上げる時」に白煙が出ると考えると分かりやすいでしょう。
いずれの場合でも、煙はマフラーから出るため気付きにくいでしょう。そのため、時々気にかけておくと、異常に早く気付けるかもしれません。
症状②エンジンオイルの減りが早くなる
エンジンオイルが早く減ってしまうのも特徴的な症状です。実は車が正常な状態でも、わずかにオイルは減っています。
オイル上がりが発生すれば、エンジンオイルの異常な燃焼・蒸発によって、より早く減ってしまいます。
異常な現象により、警告灯が点灯したり、エアコンの外気を入れた時に臭いがしたり、振動が大きくなったりする事態が起きるのです。
オイル上がりはピストンリングに原因あり?
オイル上がりは、エンジンオイルがすり抜けてしまう現象ですが、なぜ起きるのでしょうか。
その原因は、ピストンについている『ピストンリング』と呼ばれるゴム製のパーツにあります。ピストンやシリンダーが上下に激しく動く中、ピストンリングによりオイルが燃焼室に入りこむのを防いでいるのです。
しかし、ピストンリングの傷や摩耗により隙間ができると、この役割が果たされなくなります。
ピストンリングの摩耗は、経年劣化だけでなくエンジンオイルが汚くても起こりえるため、定期的なオイル交換を行い、オイル上がりにならないように気をつけましょう。
オイル上がりとオイル下がりの見分け方
オイル下がりでも、白煙が出る症状が見られるため、見分けるのは難しいと感じるかもしれません。見分ける時のポイントは、白煙が出るタイミングです。
オイル上がりなら、高回転時に白い煙・青白い煙が見られるため、走行を続けていると煙が目立つ傾向にあります。そのため、アイドリングや低回転の時にはほとんど見受けられません。
オイル下がりが原因の場合は、回転数が低い時に白煙が出ます。スピードを落とした時や、長時間エンジンを停止してから始動すると白煙が出やすい傾向です。
このような白煙がマフラーから出るタイミングで区別できる場合がありますが、ターボエンジンの不具合などでも起こりうるため、通常時と違う白煙が出るようであれば、専門家に診てもらいましょう。
オイル上がりの放置はNG!起こりうるトラブルとは?
煙やオイルの状態を見て「オイル上がりの症状がある」と思っても、すぐに対応できなかったり、そのまま忘れてしまったりすることもあるかもしれません。
オイル上がりを放置すると、エンジン内のパーツの破損や焼き付きが起き、故障する恐れがあります。
故障すると、エンジンを降ろしてピストンリングを交換する必要があります。エンジンを脱着する作業は重整備であり、修理費用も高額になりがちです。出来るだけ早めに対処しましょう。
オイル上がりの対処法・直し方は?
オイル上がりが軽度な状態で発見できれば、以下の方法で粘度を上げると改善が見込める場合があります。
- エンジンオイルを硬くする・粘度を上げる
- エンジンオイルの添加剤を使う
しかし、すでにパーツの破損や変形があれば効果は見込めません。パーツ交換が必要となります。
対処法①エンジンオイルを硬くする・粘度を上げる
エンジンオイルを硬くしたり、粘度を上げたりすることでオイルが漏れてしまうのを防ぎ、対処できる場合があります。
これはエンジンオイルの潤滑・密封作用により、パーツの摩耗や傷を粘膜で保護するためです。特に走行距離が長い車には効果的であるため、一度試してみるのもよいでしょう。
対処法②エンジンオイルの添加剤を使う
対処法の2つ目は、エンジンオイルに添加剤を入れる方法です。
添加剤によっては、粘度を上げられるため、漏れを防いで対処できる場合があります。
添加剤は、直接投入タイプとエンジンオイルに混ぜてから使用するタイプがあるため、よく確認してから使用しましょう。
まとめ|エンジンのオイル上がりは定期的なオイル交換で防ごう
オイル上がりとは、車のパーツの間からオイルが漏れてしまう現象で、正常な状態ではありません。マフラーから白煙が出る、エンジンオイルの減りが早くなった、などの症状で気付く場合が多いでしょう。
症状が見られるのに放っておけば、エンジンの故障につながる恐れがあるため、早めに対処すべきです。また、事前にオイル上がりを防ぐために、オイル交換を忘れないようにしましょう。