潤滑油

切削油を使うならオイルミストに注意!対策はミストコレクタで

切削油を使いたいけどオイルミストについてよく知らないため「安全性が気になる」という方もいるのではないでしょうか。そこで本記事では、オイルミストの危険性を紹介します。

オイルミストはさまざまな悪影響を引き起こすため、合わせて安全に切削油を使えるようオイルミストの対策も解説します。切削油の利用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

そもそも切削油とは

金属を切削するときに、潤滑油として使用するオイルが切削油です。切削とは、金属をドリルで加工したり、バイトと呼ばれる刃物を固定し、加工する部品を回転させて削る旋削加工をしたりする作業を指します。

切削では、削った金属くずが飛び散る可能性があります。切削油を使用することで、それらの金属くずを洗い流す効果もあるのです。そのほかに、潤滑作用・冷却効果・品質向上の3つの役割を果たします。

なぜ切削油を使うのか

なぜ切削作業する際に切削油を使うのでしょうか?切削油を使うメリットは、3つあります。

1つ目は潤滑作用です。作業をスムーズに進める効果があり、生産性を上げる作用が期待できます。

2つ目は、作業時に発生する摩擦熱を減らすことで工具を長持ちさせる冷却効果です。高温にさらされ続けると工具の劣化が早まるため、長持ちさせるためにも切削油が使われます。

3つ目は、表面が綺麗に仕上がる点です。切削油を使いながら作業すれば、表面が綺麗に仕上がり、品質向上につながります。

このように多くのメリットがあるため、多くの場所で必要とされているのです。

切削油を使うとオイルミストが発生する

切削油を使って切削すると、摩擦熱などによって切削油がオイルミストとなり、飛び散ります。このオイルミストはさまざまな悪影響を引き起こすため、扱いには注意が必要です。

そこで、オイルミストが及ぼす危険性を大きく3つに分けて紹介します。

  • 人体に及ぼす危険性
  • 環境に及ぼす危険性
  • 機械に及ぼす危険性

切削作業をする方は、しっかり確認しておきましょう。

人体に及ぼす危険性

オイルミストは人体に悪影響を及ぼします。比較的軽い影響としては、オイルミストが作業場所に充満し、油の匂いなどで頭痛や不快感を覚えるケースが挙げられます。

それだけではなく、オイルミストが肌に触れたり目に入ったりすると、肌荒れや目の疾患を引き起こす場合も。また、オイルミストを吸い込むと鼻や喉、呼吸器系の疾患が起こる可能性もあります。

環境に及ぼす危険性

オイルミストは環境にも悪影響を及ぼします。オイルミストが床に付着するとコーティングのようになり、足元が滑りやすくなるのです。その結果、作業環境が悪くなったり、油であるオイルミストへの引火による火災が起こりやすくなったりなどの危険が伴います。

工場内の環境が悪化するだけではなく、オイルミストが工場外へ流出すると、地球環境へも被害を及ぼします。工場外へ流出したオイルミストは大気汚染や水質汚染などを引き起こすため、環境に多大な悪影響を与えるのです。

機械に及ぼす危険性

オイルミストは人体や環境だけではなく、機械にも悪影響を及ぼします。

機械にオイルミストが入り込むと、故障やショートの可能性があるのです。また、金属や樹脂でできた部品の腐食も引き起こす可能性があります。機械に影響が出ると修理に多くの費用がかかったり、生産性が低下したりします。

このように、オイルミストはさまざまな悪影響を及ぼします。そのため、しっかり対策する必要があるのです。

オイルミストの対策

オイルミストの対策のひとつとして、ミストコレクタを設置する方法があります。ミストコレクタとは、オイルミストを含んだ空気を吸い込み、オイルミストのみを除去する装置です。

主な装置は以下のとおりです。

  • フィルター式ミストコレクタ
  • 遠心分離式ミストコレクタ
  • 電気集塵式ミストコレクタ

ミストコレクタには種類があるため、最適なものを選びましょう。

フィルター式ミストコレクタ

ミストコレクタのなかで最も一般的なのが、フィルター式ミストコレクタです。オイルミストを含んだ周囲の空気を吸い込み、フィルターによってオイルミストを除去します。

フィルター式ミストコレクタ自体の構造は難しくないうえに、比較的安価で設置できるメリットがあります。そのため管理しやすい点がメリットです。しかし、使い終わったフィルターは工業廃棄物として廃棄する必要があるうえに、環境にはあまり良くありません。

遠心分離式ミストコレクタ

遠心分離式ミストコレクタはフィルターがなく、オイルミストと空気を遠心力によってわけるミストコレクタです。フィルターを廃棄する必要がなく、メンテナンスも簡単というメリットがあります。

しかし、1μm以下のオイルミストは吸収しにくいとされています。技術の発達により、1μm以下のオイルミストも吸収できる性能の良い装置もありますが、購入費用も高くなる傾向です。

電気集塵式ミストコレクタ

帯電させたオイルミストを電極の静電力で引き合わせて集めるのが電気集塵式ミストコレクタです。

電極は洗って繰り返し使えるため、ミストコレクタのなかでは一番廃棄物が出ません。そのため、最も環境に優しい装置といえるでしょう。ただし、比較的高価なものが多く、メンテナンスにも費用がかかります。

このように、ミストコレクタは種類によってそれぞれ特徴が異なるため、適切なものを選ぶ必要があります。

まとめ:切削油を使うならオイルミストに気をつけよう

切削油にはさまざまなメリットがあり、切削作業の際には欠かせない存在です。

しかし、切削油を使うとオイルミストが発生します。オイルミストはたくさんの悪影響を引き起こすため、ミストコレクタで対策しなければなりません。

切削油を使うならオイルミストに気をつけ、安全に作業できる設備を整えましょう。

関連記事

TOP