「エンジンオイルはグレードによって種類が多いから、選ぶときにどの規格にすればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。エンジンオイルは豊富な種類があるため、選ぶ際に困惑するかもしれません。
そこでこの記事では、API規格とはどのような規格なのか紹介します。また、ILSAC規格・JASO規格の特徴や、SAE規格の特徴も解説するため、粘度についても理解を深められます。適切なグレードのエンジンオイルを選べるようになりたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
API規格はエンジンオイルだけじゃない
API規格はアメリカ石油協会などによって定めているルールのひとつです。エンジンオイルのみならず、石油全般にそれぞれルールが定められています。
エンジンオイルのAPI規格では、耐熱性・耐摩耗性・省燃費性についての基準が設けられており、性能によってグレードが分類されています。認められている製品には「APIシンボルマーク」が表記されているため、エンジンオイルを選ぶ際に確認するとよいでしょう。
エンジンオイルのAPI規格について
エンジンオイルのAPI規格は、ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用でわかれています。エンジンオイルを選ぶ際には「ガソリンエンジン用のオイル」なのか、「ディーゼルエンジン用のオイル」なのかを確認してから選びましょう。
それぞれのグレードは特徴が異なるため、次項で紹介します。
ガソリンエンジン用
ガソリンエンジン用のAPI規格は、以下の表のように「S」から始まるアルファベットグレードがわけられており、13種類あります。
グレード | 特徴 |
SA | 添加物を含まないベースオイル |
SB | 添加物が最低限含まれたオイル |
SC | 1964〜67年型の車に対応 |
SD | 1968〜71年型の車に対応 |
SE | 1972〜79年型の車に対応 |
SF | 1980年型以降の車に対応 |
SG | 1989年型以降の車に対応 |
SH | 1993年型以降の車に対応 |
SJ | 1996年型以降の車に対応 |
SL | 2001年に制定 |
SM | 2004年に制定 |
SN | 2010年に制定 |
SP | 2020年に制定 |
新しいグレードになればなるほど、エンジンオイルの性能もよくなっています。
ディーゼルエンジン用
ディーゼルエンジン用は、以下のように「C」から始まるアルファベットでグレードがわけられており、8種類あります。
グレード | 特徴 |
CA | 1940〜50年型の車に対応 |
CB | 1949年型以降の車に対応 |
CC | 1961年型以降の車に対応 |
CF-4 | 1991年型以降の車に対応 |
CF | 1994年型以降の車に対応 |
CG-4 | 1995年型以降の車に対応 |
CH-4 | 1998年12月型以降の車に対応 |
CI-4 | 2002年9月型以降の車に対応 |
ディーゼルエンジン用のエンジンオイルはグレードによって、2サイクルエンジンの用や大型トラック用、農業機械用などにわかれているため、適切なものを選びましょう。
API規格以外のグレードも
API規格だけではなくILSACやJASO、SAE規格など、ほかにもさまざまな種類があります。
特にSAE規格はオイルの粘度を示すため、性能の良し悪しを示すAPI規格のグレードとは異なります。
そこで、それぞれが定めているグレードを紹介するので確認しましょう。
燃費も考慮したILSAC規格
ILSAC規格は日米の自動車メーカーによって結成された組織によって定められており、「GF」のアルファベットと数字の組み合わせでグレードがわけられています。
グレード | 特徴 |
GF-6 | API規格でSP相当 |
GF-5 | API規格でSN相当 |
GF-4 | API規格でSM相当 |
GF-3 | API規格でSL相当 |
GF-2 | API規格でSJ相当 |
GF-1 | API規格でSH相当 |
ILSAC規格は環境の負担を軽減しつつ、小型のエンジンが高火力を出せるように定められています。こちらも認められている製品にはスターバーストマークが表記されているため、エンジンオイルを選ぶ際に確認するとよいでしょう。
日本特有のJASO規格
JASO規格は日本でのみ使用されているルールで、主にクリーンディーゼル車のオイルに使われています。
グレード | 特徴 |
DL-2 | 2021年制定 |
DL-1 | 2005年制定 |
DL-0 | 2017年制定のAPI規格でFC-4相当 |
DL-1はクリーンディーゼル車に、DL-2はディーゼル車に対応しているエンジンオイルです。オイル交換をしたい自動車はどちらに当てはまるか確認し、適切なエンジンオイルを選びましょう。
粘度を表すSAE規格
SAE規格はエンジンオイルの粘度を表すルールです。エンジンオイルの粘度は「〇W-〇〇」のように表され、〇には数字が入ります。Wの前は低温時の粘度を、後ろの数字は高温時の粘土を示します。走行中はエンジンの温度が高くなるため、後ろの数字の粘度を特に意識してみてください。
粘度の数字が小さいほど柔らかいエンジンオイルで、抵抗が少なくなります。そのため、燃費がよくなりやすい傾向にあるのです。反対に、数字が大きいエンジンオイルは固く、抵抗が大きい特徴があります。粘度の固いエンジンオイルは保護性能が高い特徴があるのです。
まとめ:自動車に最適なグレードを選ぼう
エンジンオイルは、規格によってさまざまなグレードにわけられています。エンジンオイルの性能を発揮するためには、適切なグレードのエンジンオイルを選ぶ必要があるのです。
規格やグレードについてきちんと理解し、それぞれの自動車に最適なエンジンオイルを選べるようになりましょう。