欧州車を所有している方の中には、オイル規格の違いが分からずに困っている方がいるかもしれません。車に合わないオイルを使用すると、燃費やエンジンの状態を悪くしてしまう可能性があります。
この記事では、エンジンオイルの規格と欧州車に合ったオイルについて解説します。
目次
欧州車に合ったエンジンオイルとは
VWやベンツなどの欧州車に合ったエンジンオイルをご存じでしょうか。エンジンオイルには多くの種類がありますが、acea規格のエンジンオイルが適していると言われています。
カー用品店に行くと、国産車によく使用される「SP」や「SN」なども販売されていますが、欧州車のエンジンオイルを選ぶ際はacea規格の中から選ぶのが基本です。
「どの商品がacea規格か分からない」と思う方がいるかもしれません。とはいえ、エンジンオイルの容器には「ACEA C3 SP 5W30」などと表記されているため「ACEA」文字を探せば見つけられるでしょう。
acea規格とは
そもそもacea規格とは何でしょうか。この規格は、欧州自動車工業会が制定したエンジンオイルの性能基準です。欧州車メーカーのほかホンダやトヨタも加盟しており、欧州の自動車産業において広く使用されている規格なのです。
エンジンオイルの性能評価をするためのテスト方法や基準が規格として明確に示されており、関係する自動車メーカーやオイルメーカーはacea規格を参考にして適切なエンジンオイルの開発・製造をします。
acea規格の特徴
国産車のエンジンオイルに適応される代表的な規格の1つにAPI規格があります。acea規格はAPI規格とは異なる特性を持っています。
例えば、API規格が省燃費性能を重視するのに対して、acea規格はエンジンの保護性能や環境対応性を重視しています。そのため、欧州車に使用するエンジンオイルを選ぶ際には、acea規格に対応したオイルを選ぶことが重要なのです。
欧州車のエンジンオイル交換時の目安なども、acea規格に基づいて推奨される場合があります。欧州車を持っている方は、acea規格に対応した適切なエンジンオイルを選び、定期的な交換を行うことでエンジンを長持ちさせられるのです。
acea規格はAPI規格よりも試験が厳しく、高品質の添加剤やベースオイルを使用している特徴があります。そのため、欧州車に使用するエンジンオイルを選ぶ際には、acea規格にすればトラブルが起きにくいとされています。
メーカー認証とは
オイル選びをしていると「メーカー認証オイル」のような文言を目にするケースがあるかもしれません。「メーカー認証オイルってほかのオイルと何が違うの?」という素朴な疑問を抱く方もいるでしょう。
メーカー認証のエンジンオイルは、acea規格に加えて自動車メーカー各自儲けた要件を満たしたエンジンオイルを指します。メーカー認証オイルは高価な分、acea規格に加えて高いロングライフ性能が保証されたエンジンオイルなのです。
acea規格のカテゴリー
エンジンオイルの規格はエンジン構造に応じて以下のように分けられます。
- A規格:ガソリンエンジン用
- B規格:乗用ディーゼル用
- C規格:ガソリンエンジンおよびDPF付きディーゼルエンジン用
- E規格:大型ディーゼル用
現在は、ガソリンエンジン用と乗用ディーゼル用は「A3/B4」と表記されています。
多くの欧州車に5W-40が推奨される理由
「5W-40」とは、エンジンオイルが低温・高温それぞれの状態になったときの粘度を5Wの場合、-30度でも運用可能です。
後半の「(SAE)40」は、高温状態のオイル粘度を示します。SAE40は、上から2番目に柔らかいエンジンオイルです。多くの欧州車に5W-40が推奨される理由として、以下の3つがあげられます。
- 最適な保護と性能
- 環境対応性
- 多様な車両に適合
それぞれについて解説します。
最適な保護と性能
5W-40粘度オイルは、低温時でも流動性が良く、エンジン内の潤滑剤が素早く循環するため、始動時の低温状態でも摩擦や摩耗を効果的に防止します。
また、高温状況でも粘度が安定しており、酸化にたいする耐性があるため、エンジンの寿命が延びるのです。
環境対応性
欧州には、厳格な環境規制があり、車両排出ガスや燃費に対する要件のハードルが高いため、メーカーはエンジンオイルを利用して燃費向上や排出ガス低減に注力しています。
5W-40粘度オイルは、エンジン内の摩擦を低減し、燃費が良いといわれています。さらに、低灰分化オイルの採用により、排出ガスの低減にも貢献しているのです。
多様な車両に適合
それぞれの車には、使用できるエンジンオイルの粘度が決められています。5W-40粘度オイルは、低温から高温までの幅が広いため、さまざまな車両に使えるのです。
異なる規格のオイルを使用するとどうなるのか
欧州と日本を比較すると、欧州では平均走行距離が長く、スピードレンジも広い傾向があります。そのため、エンジンは日本に比べてより高い負荷が加わる傾向にあるでしょう。
日本ではチョイ乗りなどエンジンが温まる前に乗り出すシビアコンデションが一般的です。
この乗り方はオイルの劣化を早める原因と言われています。
そのため、国産車に欧州車専用のオイルを使用しても問題ないと考えられますが、欧州車を日本で使用する場合は、オイルの劣化が早まる可能性があるでしょう。
まとめ|欧州車にはacea規格を使用しましょう
acea規格のエンジンオイルは「エンジン保護性能」「環境性能」を重視している特徴があります。欧州車に乗る際はacea規格のエンジンオイルを選ぶようにしましょう。
また、推奨されているオイル交換時期は、日本のようなシビアコンディションを想定して決められていないため、鵜呑みにしないようにしましょう。