0W-20のエンジンオイルは夏に弱い、夏には0W-20以外のオイルが適しているといった情報を目にしたことはないでしょうか。
この記事では、0W-20のエンジンオイルが夏でも性能を維持出来るのかについて解説しています。あわせて、エンジンオイルの粘度の違いについても紹介していますので、オイル選びの参考にしてください。
目次
0W-20のエンジンオイルは夏の使用でも問題なし
0W-20のエンジンオイルは、粘度が低く油膜切れなどの不安があるかもしれませんが、気温の高い夏の使用でも問題ありません。
0W-20のエンジンオイルが夏の使用でも問題ない理由は下記の3つです。
- エンジンオイルの性能が向上した
- エンジンの組み付け精度が向上した
- エンジンが熱くなりにくい
それぞれについて解説します。
理由1.エンジンオイルの性能が向上した
以前は、0W-20のエンジンオイルは、粘度が低すぎて油膜切れや焼き付きの心配がありました。
ただ、環境意識が高まりエコカーが増えたため、省燃費性・潤滑性に優れたエンジンオイルの開発が欠かせませんでした。そのため、エコカーに最適なエンジンオイルの研究開発を進めた結果、オイルの性能は飛躍的に向上しました。
理由2.エンジンの組み付け精度が向上した
エンジン部品の材質、製造する際の加工精度・組付け精度が向上したため、エンジン内の隙間が減りました。そのため、部品の熱膨張も少なく、エンジンオイルで隙間を埋める必要がなくなったため低粘度化が進んでいます。
近年では油温が高温になりやすいターボ車でも、低粘度オイルが採用されているケースが増えています。
理由3.エンジンが熱くなりにくい
0W-20のエンジンオイルを使うのは主にエコカーで、エンジンのオンオフを繰り返すためエンジンがあまり高温になりません。また、夏にフル稼働するエアコンも電動化しているため、エンジンの発熱量を抑える一因となっています。
エンジンが高温になりづらいエコカーには、低温時に性能を発揮する低粘度オイルが適しています。
粘度の規格について
エンジンオイルの粘度は、世界基準のSAE規格によって定められ、0W-20などのマルチグレード表示が一般的です。
例えば、0W-20の数字やアルファベットの意味は、下記の通りです。
0 | W | 20 |
低温時の粘度 | ウィンター | 高温時の粘度 |
- 「0W」は、外気温が-35℃までの使用に耐える
- 「20」は、SAE規格20の粘度を示す
つまり、0W-20は低温時の粘度特性に優れていると言えるでしょう。次章では粘度の違いによるエンジンオイルの特徴を紹介していきます。
粘度の違いによるオイル性能
エンジンオイルの性能は、単純に粘度が高ければ良いオイル、低ければ不安定なオイルというわけではありません。車の性能や使用環境などにより、適切な粘度のエンジンオイルを使用しなければならないからです。
高粘度のエンジンオイル、低粘度のエンジンオイル、それぞれの粘度の違いによるオイル性能について解説していきます。
粘度の高いエンジンオイルの特徴
高粘度のエンジンオイルは、エンジンが高温時でも潤滑性能を保持しやすく、密封性能や冷却性能にも優れています。そのため、高温や高負荷に強く高速走行やスポーツ走行などに適しています。
ただ、低温始動時はオイルの抵抗が大きく、エンジン回転時もオイルポンプへの負荷が大きいため、燃費の悪化は避けられません。
粘度の低いエンジンオイルの特徴
低粘度のエンジンオイルは流動性が高いため、気温の低い朝でもオイルによる抵抗が少なくエンジンの始動性に優れています。エンジン各部にかかる負担も少ないため、回転効率が良く燃費の向上につながる可能性があります。
一方で、高速走行や登坂路の走行など、負荷が多い使い方は油膜切れや潤滑不良によるトラブルの心配が拭えません。
エンジンオイル粘度の選び方
すべての車に低粘度オイルが適しているわけではありません。車の性能や使用状況、使用環境などを加味しつつ、適切な粘度を選択すると良いでしょう。
エンジンオイルの粘度を選ぶ基準は下記の2つです。
- メーカー推奨のエンジンオイルを選ぶ
- 走行距離が増えたら粘度の変更を検討する
それぞれについて解説していきます。
1.メーカー推奨のエンジンオイルを選ぶ
取扱説明書などに掲載されているオイル粘度は、メーカーが車やエンジンの特性に合わせて採用しています。多くの実験やテストの結果で選ばれたエンジンオイルのため、エンジンの性能をフルに発揮できます。
複数のオイル粘度が推奨されている車もあるため、季節ごとに粘度を変えてみるのも良いかもしれません。
2.走行距離が増えたら粘度の変更を検討する
走行距離が増えてくると、シリンダーとピストンなど、エンジン各部のクリアランスが増えていきます。低粘度オイルは、クリアランスが増えると密封性能が低下し、エンジン本来の性能が発揮できません。
走行距離が増えて、エンジンの力不足や燃費の悪化を感じたら、カーディーラーやカーショップに相談してみるのも良いでしょう。
まとめ|超低粘度オイルは新規格のグレードを選ぼう!
0W-20のエンジンオイルは、数字だけ見ると夏の暑さや渋滞など、高温に弱くエンジントラブルが心配になるかもしれません。
しかし、近年の低粘度オイルは省燃費性を高めつつ潤滑性にも優れているため、夏の暑さにも対応しています。
ただし、古い規格のオイルは性能が乏しく高負荷走行には適さないため、新規格で高性能なオイルを選びましょう。