「ターボ車のオイルは5W-30が最適」と聞いたことはないでしょうか。ターボ車のオイルは、エンジン性能を最大限に引き出すため、またエンジン寿命を伸ばすため適切に選ばなければなりません。
この記事では、ターボ車のオイル粘度や、ターボの特徴について紹介しています。ターボ車のメリット・デメリットを知り、オイル選びの参考にしてください。
目次
ターボ車に適しているオイルは「5W-30」?ノンターボ車と比較
世間一般では、ターボ車には比較的粘度が高い「5W-30」や「10W-30」などのエンジンオイルが最適といわれています。ターボ車とノンターボ車のエンジンオイルに求められる性能は以下のように異なるためです。
ターボ車 | ノンターボ車 | |
エンジン発熱量 | 高温になりやすい | 相対的に低い |
エンジン負荷 | 高負荷 | ターボ車より低負荷 |
オイル性能 | 高温性能・酸化防止性能など | 燃費性能・低温流動性など |
上記からわかるように、エンジンオイルが高温高負荷にさらされるターボ車は高粘度オイルが使われている傾向があります。反対に、ノンターボ車はオイルの低粘度化が進み「0W-20」のような低粘度オイルが採用されています。
そのため、ターボ車には粘度の高い「5W-30」や「10W-30」が適しているといわれているのです。
そもそもオイルの「5W-30」とは
「5W-30」は、エンジンオイルの粘度を定めた規格であり、どの程度の温度変化に対応して性能を発揮できるかを示しています。オイル粘度を示す「5W-30」の見方は以下のとおりです。
5W | 30 |
低温時の粘度 数字が小さくなるほど、低温時の流動性に優れている | 高温時の粘度 数字が大きくなるほど、高温時の流動性に優れている |
数字が小さい低粘度オイルと、数字が大きい高粘度オイルの特性の違いを下表で紹介します。
低粘度オイル | 高粘度オイル | |
冷感時の始動性 | 良 | 低粘度オイルより弱い |
高速走行時の油膜保持性 | 高粘度オイルより弱い | 良 |
燃費性能 | 良 | 低粘度オイルより弱い |
以上のように、エンジンオイルといっても、特性が大きく異なります。粘度選びに迷った場合、車に積載されている取扱説明書に記載の粘度を確認するのがおすすめです。
ターボ車の特徴
ターボ車は、同じ排気量のノンターボ車より高出力で加速性能に優れていて、胸のすくような走行フィーリングが特徴です。高速走行や登坂路走行など、ノンターボ車より力強い走行性能を求めるならターボ車がよいでしょう。
ターボ車に搭載されているターボは、排気ガスの流れる力を利用してタービンを回しています。排気側のタービンと同軸上にある吸気側のタービンが回され、圧縮された多くの空気をエンジンに送り出力を高めています。
ターボ車のメリット
ターボ車はノンターボ車に比べてパワーやトルクが高いのが一般的です。ただし、ターボ車がノンターボ車より優れているのは力強い走行性能だけではありません。
ターボ車のメリットはおもに以下の2つです。
- メリット1.加速性能が優れている
- メリット2.自動車税を抑えられる
それぞれについて紹介します。
メリット1.加速性能が優れている
ターボ車は、多くの圧縮空気をエンジンに送れるため、爆発力が強く、エンジン出力が高いのが特徴です。高速道路での追い越し加速や、登坂路での加速はノンターボ車と比べて力強く、ストレスを感じさせません。
ノンターボ車で出力を上げるには限界があり、ターボ装着による出力向上はコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。
メリット2.自動車税を抑えられる
近年では、ターボ装着によって小排気量でも高出力が得られるため、排気量を小さくする「ダウンサイジング」が主流となってきました。
カローラスポーツを例に挙げると、ノンターボ車が1.8Lなのに対し、ターボ車は1.2Lと排気量を小さく抑えられます。排気量が小さくなれば税金も節約できるため、車の維持負担が軽減します。
ターボ車のデメリット
ターボ車は高出力や節税などのメリットがある反面、いくつかのデメリットがあるため、車選びの際はよく検討しましょう。
ノンターボ車と比べた際のデメリットは以下のとおりです。
- デメリット1.購入費用が割高になる
- デメリット2.メンテナンス費用がかかる
それぞれ解説します。
デメリット1.購入費用が割高になる
ターボ車は、ターボやインタークーラーなどの部品点数が増えるほか、エンジンの構造が変わるなどコストがかかります。同形式車の場合の価格差は、ターボ車とノンターボ車では、およそ10〜20万円ほどです。
そのため、ターボ車購入の際は所有期間や下取り価格など、価格差以外も考慮してみるとよいかもしれません。
デメリット2.メンテナンス費用がかかる
ターボ車は、タービンが高速回転しているため、ノンターボ車に比べてエンジンオイルが高温環境下にさらされます。そのため、エンジンオイルの劣化が早く、ノンターボ車に比べるとオイル交換の頻度が増えます。
長期間の使用を検討している場合、ターボ車はノンターボ車に比べてメンテナンスコストがかかるのは避けて通れません。
高性能ターボ車では低粘度オイルが採用されているケースも
近年、環境問題や燃費性能の観点から、エンジンオイルの低粘度化が進んでいます。オイルの低粘度化はターボ車でも見られ、高性能スポーツカーのGRヤリスや、N-BOXターボなどは「0W-20」が指定オイルです。エンジンオイルの性能向上はもとより、エンジンやタービンの組付け精度の向上などにより、低粘度オイルへの対応が可能となりました。
そのため、一概にターボ車は高粘度オイルが適しているとはいえません。車の特性ごとに適したオイルを選ぶ必要があります。
まとめ|ターボ車の特徴を理解して適切なオイルを選ぼう
ターボ車のタービンは、毎分20万回転に達するほど高速回転しているため、ターボやエンジンオイルが高温にさらされます。そのため、ターボ車のエンジンオイルは油膜が切れない潤滑性や、冷却性に優れた高粘度オイルが推奨されています。
エンジン破損のような、故障のリスクを減らし快適なカーライフを送るため、適切なオイルを選びましょう。