車を安全に運転するうえでギアオイルの存在は欠かせません。しかし、ギアオイルを理解している方は多くないようです。
交換自体は自分で可能ですが「自分で交換した方がコストが抑えられるからやってみたいけど分からない」そんな方がほとんどかもしれません。
そこで、この記事ではギアオイルの基本的な情報から、交換方法、交換するための費用相場まで解説します。自分の車を長く安全に乗るためにもギアオイルを理解して、コスパ良く交換しましょう。
目次
ギアオイルとは?
エンジンオイルが規定量より少なくなると警告灯(オイルランプ)が点灯します。
エンジンオイルが少ないままでは、エンジントラブルを引き起こす可能性があるため、気付いた時点でできるだけ早めに対処しましょう。
エンジンオイルが規定量より少ないとどうなる?起こりうるトラブル
ギアオイルは車に使用される潤滑油の一つです。車の心臓部であるギアをスムーズに動かすために活用されています。MT車のギアチェンジにはかかせないもので、専用のオイルがギアにまとわりつき、スムーズな稼働を促進し摩耗や異音などを防いでいます。
また、ギアオイルをミッションオイルと呼ぶ方もいらっしゃいますが同じ意味の言葉です。混乱しないよう覚えておくと良いでしょう。
エンジンオイルとの違いはあるの?
大きな違いは二つあります。
まず一つ目は、ギアオイルには「極圧剤」が大量に含まれている点です。「極圧剤」は金属同士の焼き付きを防ぐために使用される添加剤です。
金属同士が強力な力で擦れ合うとき大きな熱が発生し金属の焼き付きが起こる恐れがあるため使用されています。「極圧剤」は金属を溶かし、ぬめりを出すことでうまく潤滑させ、焼き付きを防いでいます。
二つ目の違いは、粘度指数向上剤の性能です。ギアオイルの粘度指数向上剤は非常に強力です。ギアは非常に強い力がかかっており、その際にオイルをせん断してしまいます。
もしギアオイルではなくエンジンオイルを使用すれば、一瞬にして潤滑材としての効力を発揮できなくなります。
ギアオイルの役割
ギアオイルにはさまざまな役割があります。ここでは、役割を一つずつ解説していきます。役割は以下の3つです。
- 潤滑
- 冷却
- 防錆
ギアオイルは車の走行を支える重要な消耗品ですが、実際にはどのような目的で活用されているのか分からない方がほとんどでしょう。今後の運転をより安全運転にするためにも、ぜひ最後までご覧になってください
潤滑|歯車の摩耗を防ぐ
ギアオイル最大の役割が潤滑です。車のギアは常に金属と金属が接触しています。その力は非常に強く、何も対策をしなければギアはすぐに摩耗してしまいます。その結果、使い物にならなくなってしまい、交換が必要となるのです。
ギアオイルはギア同士の稼働をスムーズに進め、寿命を伸ばすために活用されています。
冷却|焼き付きを防ぐ
先ほどもお伝えした通り、ギア同士は常に接触しており強い力で稼働しています。そのため、摩擦熱が非常に高温で発生します。そのまま放置すればギアは摩擦熱によって焼き付いてしまう可能性もあるでしょう。
ギアオイルには焼き付きを防ぐ、冷却の役割があります。オイルが熱を吸収し、焼き付きを防いでくれるのです。
防錆|錆を防いで寿命を延ばす
最後の役割が防錆です。ギアは金属でできているためエンジン内の温度差や不具合で水分が侵入すれば、すぐに錆びてもろくなってしまいます。
ギアをオイルで包み、水の浸食を防ぐことで、ギアが錆びるのを防ぐ役割があります。ギアは錆びると寿命が急激に短くなるので定期的な交換が不可欠です。
ギアオイルの交換頻度
ギアオイルの交換は2年が一つの基準といわれています。エンジンオイルほど頻度は高くなく、一般車なら車検ごとで何ら問題ありません。
しかし、走行距離が多い車については話が別です。そのため走行距離での基準も設けられており、20,000キロメートル走るごとに交換が必要とされています。
1年間で20,000キロメートル走る場合であれば、月に900キロメートル以上走る必要があるため、多くの場合は業務用の車が走行距離を目安にギアオイルを交換します。
ギアオイルの粘度とは?
ギアオイルは粘度が非常に重要です。きちんと機能するためには一定以上の粘度を持つ必要があるのです。ギアオイルは気温によって粘度が変わるため、間違えのないように選択する必要があります。
また、車によっても必要となる粘度が変わるため、自分で交換する場合は、自分の車に適したギアオイルをしっかりと見定める必要があります。
ギアオイルとして使用するには粘度が必要な理由は、正常に機能するためです。
ギアは強力な力で金属同士が擦れ合っています。そのため、粘度が低ければギアがオイルをせん断し潤滑の役割が果たせなくなるのです。そのため、正常に機能できるように粘度が決められているのです。
ギアオイルの種類
ギアオイルは粘度によって種類が分けられています。ここでは、粘度ごとの種類を解説します。GL規格の分類は以下の通りです。
・GL-1/GL-2
・GL-3
・GL-4
・GL-5
・GL-6
自分の車に適したものがどれなのか、しっかりと判断できるようにぜひとも最後までご覧ください。
GL-1/GL-2
通常自動車にはほとんど使用しません。主に、産業用機械の軽負荷のものに採用されているギアオイルです。例えば、車であればエンジンの上下運動を回転運動に変えるために用いられるプロペラシャフトなどに使用されます。
GL-3
主に車のトランスミッションで使用されるギアオイルです。そのため車には欠かせない消耗品の一つと言えます。
トランスミッションは車の心臓部の一つと言われるほど大切な箇所です。トランスミッションが変わるだけでも燃費や車の走行性能は変わってくるほどです。そのため車の安全な走行を守っている重要な存在とも言えるでしょう。
GL-4
GL-4も主に自動車のトランスミッションに用いられるギアオイルです。GL-3よりもより過酷な環境下にて使用される事がほとんどです。そのため、トランスミッションだけでなくステアリングなどにも用いられています。
GL-5
GL-5は粘度が非常に高く、一般的に車に使用されるギアオイルの中で最も粘度が高いギアオイルとなります。GL-4よりもさらに過酷な環境で使用される事が前提で作られており、普段の日常生活ではなかなか目にする事のないものです。
GL-6
自動車にはほとんど用いられないギアオイルです。6種類の中で粘度が一番高く、車を使用する環境下では使用されないオイルとなっています。ただし、アメリカの自動車メーカーであるフォードの一部の車には採用されているオイルです。
ギアオイルに用いるベースオイルの種類
ギアオイルには3種類のベースオイルが使用されています。それぞれに特徴があり、強みが異なります。
まず一つ目が全合成油です。高純度のギアオイルで価格は高い傾向にありますが、寿命が長く性能も高くなっています。
二つ目が部分合成油です。鉱物油と化学合成油を混ぜたものとなっています。鉱物油の弱点である酸化しやすい点を化学合成油を混ぜることで解消したオイルです。性能と価格のバランスが良くコストパフォーマンスに優れています。
最後に紹介するのが鉱物油です。最大のメリットは安価という点ですが、その分3種類のベースオイルの中で最も酸化しやすくなっています。
ギアオイルの交換方法
ギアオイルの交換にはまず、必要な工具を用意する必要があります。ジャッキはもちろん、レンチや専用のガスケット、不要となったオイルを処理するためのパックなどが必要です。
実際にギアオイルを交換する手順は以下の通りです。
- ジャッキを使用して車体を浮かせます。
- フィラープラグを緩めます。(トランスミッションケースのサイドにあります。)
- ドレンプラグを開け、古くなったオイルを取り出します。(トランスミッションケースの下にあります。)そのあとオイルがすべて抜けたのを確認したらドレンボルトを締めます。
- そのあと、サクションガンと呼ばれる注射器の様なものでフィラープラグからギアオイルを入れていきます。
- プラグを確認しながらオイルが一杯になったら、フィラープラグを締めます。
- 最後にジャッキを外して、異常がないか確認走行を行い終了となります。
初めてチャレンジする方はケガの危険性があるため、手順をしっかり確認しましょう。また、古いギアオイルは産業廃棄物として処理する必要がある点を忘れないようにしてください。
ギアオイル交換の相場
ギアオイルの交換を車屋さんに依頼する場合、3,000~8,000円ほどが相場となります。内訳としては、ミッションオイルが1,500~5,000円ほど、工賃として1,000~3,000円ほどとなっています。
交換する店舗の候補としては正規ディーラーや街のカーショップなどがそれにあたりますが、ディーラーよりは街のカーショップの方が費用は抑えることができます。
まとめ
今回は、ギアオイルの基礎的な部分と交換方法をご紹介しました。日々私たちの生活を支えている自動車には欠かせないもので、定期的な交換が車の性能や寿命、ひいては安全運転にもつながります。
ご自身での交換も可能ですが、どうしても工具が必要であり、危険が伴うため注意が必要です。また、粘度も重要なポイントです。ギアオイルをしっかりと理解して、安全で安心なカーライフを送っていきましょう!