エンジンオイルは、車両のエンジンを円滑に稼働させるために定期的に交換する必要があります。しかし、「エンジンオイルは混合しても使えるのか」「エンジンオイルを混合する際の注意点ってなんだろう」といった疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
この記事では、エンジンオイルのパターン別の混合方法と考え方、内燃機関のトラブルを回避するための3つの注意点について紹介します。
全量交換せずに部分的に交換し、なおかつ車両トラブルは回避したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【結論】注意点をおさえてエンジンオイルを混合する必要がある
結論から述べると、エンジンオイルを混ぜての使用は可能です。ただし、オイルによって、粘度・含まれる添加物が異なります。それらの特性を理解しながら、トラブルなどの発生リスクが少ないオイルを使う必要があります。
また、一度開封して時間が経過したオイルは酸化が始まっており、使用すれば内燃機関に負荷がかかる場合があるため注意が必要です。
エンジンオイルを混合しても大丈夫?パターン別に紹介
エンジンオイルを混合する際には、以下の4つのパターンが存在します。
- 同じメーカーの同じ製品を混ぜる場合
- 同じベースオイル由来のエンジンオイルを混ぜる場合
- 異なる等級のオイルを混ぜる場合
- 別の粘度のオイルを混ぜる場合
等級・年度・ベースオイルの特徴考え方を理解し、エンジンなどの内燃機関に負担をかけないようにしましょう。
同じメーカーの同じ製品を混ぜる場合
同じメーカーが販売している同一製品の場合、新たにオイルを混合しても基本的に内燃機関のトラブルが起こることはありません。
オイル交換の際にエンジンオイルを使いきれずに余ってしまった場合、一度開封した物でも蓋を閉めて保管しておけば、数年間にわたって使用できます。
ただし、使用できますが、開封して数年が経過したオイルは酸化が進行し、車両の燃費や内燃機関に大きな負荷を与えるリスクがあることも覚えておきましょう。
同じベースオイル由来のエンジンオイルを混ぜる場合
異なるメーカーのエンジンオイルでも、ベースオイルが同じなら問題ありません。ベースオイルには3つの種類があります。
- 全合成油:オイル+添加物の最高品質のエンジンオイル
- 合成油:全合成油+鉱物油で中程度の品質のエンジンオイル
- 鉱物油:残油から不純物を取り除いた最も安いエンジンオイル
グレード・粘度が同じ、もしくは近い等級の場合、ベースオイルが同じエンジンオイルなら問題ありません。
ベースオイルが異なるエンジンオイルの混合は、車両の故障や燃費性能の低下を招く可能性が高いため、おすすめできません。
異なる等級のオイルを混ぜる場合
異なる等級のエンジンオイルを混ぜれば、燃費性能や内燃機関の耐久性が落ちてしまうリスクがあるためおすすめできません。
エンジンオイルの等級には、米国石油協会が定める「API規格」・日米自動車工業会が定める「ILSAC」などの規格が挙げられます。
各等級にはオイルが有する機能性・用途が明記されており、等級が同じ、もしくは近い等級のオイルを選ぶことで、車両の性能を最大限まで引き出せます。
別の粘度のオイルを混ぜる場合
車両ごとに推奨されるエンジンオイルの粘度は異なります。メーカーが推奨する範囲の粘度ではない物を使用すると、燃費性能の悪化につながったり、内燃機関のトラブルの原因になったりします。
エンジンオイルの粘度は「〇W-〇〇」で表されており、数値が低いほど柔らかく、数値が高いほど硬くなる傾向です。
Wの前の左側の数字は、低温下における粘度を指します。例えば、数値が0の場合は−35℃まで、10の場合だと−25℃まで適応可能という意味です。
右側の数値は、高温の環境における粘度を指します。数値が高いほど高温下で発揮できる性能が高く、密閉作用・燃費性能・潤滑作用が高いレベルで維持されます。
車両や環境によって推奨される粘度は異なり、あまりに異なる粘度同士のエンジンオイルを混ぜ合わせると、故障の原因につながります。
エンジンオイルを混合する際の3つの注意点
エンジンオイルを混合する場合は、以下の3つの点に注意する必要があります。
- オイルが少ないとエンジントラブルの原因になる
- エンジンオイルが多いと燃費性能の悪化を招く
- 繰り返しオイルを足すとエンジンを劣化させる
以上の注意点をチェックして、トラブルを回避しましょう。
オイルが少ないとエンジントラブルの原因になる
エンジンオイルが少ない状態で車両を走行させてれば、内燃機関に対する負荷が大きくなり、車両トラブルを招く原因になります。
エンジンオイルを混合・投入するときは、レベルゲージと呼ばれるタンクの目安線を大幅に下回ることがないようにしましょう。
エンジンオイルが多いと燃費性能の悪化を招く
エンジンオイルを入れ過ぎるのも良くありません。レベルゲージよりも多く投入すると「オイルたたき」と呼ばれる現象が起きます。エンジンの回転が遅くなり、燃費性能や車両の反応が悪化したり、車両から白煙が出たりします。
エンジンオイルを混ぜ合わせるのなら、レベルゲージ以下におさまるように、投入しましょう。
繰り返しオイルを足すとエンジンを劣化させる
エンジンオイルを何度も足していると、エンジン内に古いオイルの添加物が溜まり、汚れが蓄積されることで、エンジンに負担がかかるリスクが発生します。
注ぎ足すのであれば、新しいオイルが必ず多めになるように心がければ、エンジントラブルを回避できる可能性が挙げられます。
ただし、それだけではエンジントラブルのリスクはゼロにはなりません。リスクを最小限に抑えるために、数年間に一度はオイルの全量交換がおすすめです。
エンジンオイルの混合に関してよくある質問
エンジンオイルの混合に関して以下のような質問がよくあります。
合成油と鉱物油を混ぜて使用しても大丈夫?
合成油と鉱物油を混ぜての使用はおすすめできません。特殊な添加物が入っている合成油を使用すればゲル化し、エンジン故障の原因につながる可能性があるからです。
異なる銘柄のオイルを混合するのは問題ないか?
異なる銘柄のエンジンオイルをどうしても混ぜる必要がある場合は、等級・粘度・ベースオイルの種類・添加物の有無を必ずチェックし、問題のない範囲であれば混合してもよいでしょう。
ただし、エンジンオイルは酸化するごとに性能が落ちるため、混合する際は、新しいオイル多めに投入しましょう。
エンジンオイルを混合する際のポイントをおさえて、トラブルを回避しよう
この記事では、エンジンオイルを混合する際のパターン別のポイントや、内燃期間のトラブルを回避するための注意点について解説しました。
等級・粘度・ベースオイルの種類・添加物の有無をチェックして、エンジンオイルを混合してもよいかどうか判断しましょう。
エンジンオイルの定期的な全量交換も、エンジンを劣化させないために重要です。