「車用のエンジンオイルをバイクに使ったらコスパが良いのでは?」と思ったことはありませんか?
1リッターあたりの価格が安い車用オイルを使いたいと思う方も多いでしょう。
この記事では、バイクに車用オイルを使っても問題ないのか解説しています。それぞれのオイルの特徴や違いも解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
バイクと車の違いとは
バイクも車もエンジンを搭載している乗り物ですが、そもそもエンジン自体には違いがあるのでしょうか?そしてエンジンオイルにも違いがあるのでしょうか?
それぞれの違いを下記の3項目で比べてみました。
- エンジンの構造
- エンジンの特徴
- エンジンオイルに求められる性能
エンジンの構造から解説していきます。
バイクのエンジンの構造
バイクのエンジンは、ボディーサイズや排気量などの制約があるため、コンパクトな構造にせざるを得ません。そのため、エンジンとミッション(変速機)を一体化し、小さなボディーにおさめる必要があります。
また、エンジンは単気筒から4気筒など幅広く、車のように6気筒やV8気筒のように多くありません。大きすぎるエンジンだと、走りづらくなるからです。スタイルや走行性能に影響を及ぼすため、エンジンをコンパクトにしている点がバイクエンジンの大きな特徴です。
車のエンジンの構造
車のエンジンは、バイクに比べると排気量やパワーが大きく、それゆえにサイズも大きい特徴があります。車の車両重量は軽自動車でも800kg前後もあるため、スムーズに発進・加速する性能が求められるからです。
そして、ボディーサイズや排気量の制約が少ないため、エンジンをコンパクトにおさめる必要がありません。そのためエンジンとミッションの一体化が不要で、エンジン・ミッションの両方に合わせたオイルを使う必要がないのです。
バイクのエンジンの特徴
バイクの最大の特徴は、高回転型のエンジンが多いことです。コンパクトなエンジンから高出力を生み出す必要があるため、エンジンの回転数を上げてパワーを出すほかありません。
また、エンジンが露出しているため、デザイン性も重要です。V型エンジン・直列4気筒など、エンジンの形式やクランクカバーの形によって形が異なります。見た目の美しさもバイクのエンジンの特徴です。
車のエンジンの特徴
一方、車は車両重量があるため、エンジンの回転数を上げる必要がありません。重い車体を動かすには、エンジンの回転数よりトルクの大きさが必要です。
そのため、低回転型のエンジンが主流となっています。エンジンの回転数が低ければ、騒音が少なくなるうえに燃費も良くなり、快適性が向上します。
バイク用オイルに求められる性能
構造上、エンジンとミッションを一体にする必要のあるバイクは、エンジン・ミッションどちらの性能も引き出せるオイルでなければなりません。
エンジンは高回転のため、油膜切れしない性能が必要になります。ミッションやクラッチは、複数のギヤやシャフトで構成されギヤ同士が当たり合うため、極圧性能が高いオイルが必須です。
車用オイルに求められる性能
車のエンジンオイルは、ミッションオイルの性能を兼ね備える必要がないため、エンジンのみに適した性能を選択できます。
エンジンに特化して選べるため、バイクほど高性能ではなくても問題ありませんが、近年は環境問題などから省燃費性能が求められています。省燃費性能の高いオイルは価格が高いものも多い点を覚えておきましょう。
バイクに車のオイルを使ってもいいのか?
バイクと車のエンジンやオイルに求められる性能を解説しました。それぞれ、エンジンの構造・特徴や、オイルに求められる性能は大きく異なります。そのため、バイクに車用オイルは使えないと言えます。
使えない理由は以下のとおりです。
- クラッチが正常に作動しない可能性がある
- 車用オイルは粘度が低い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
クラッチが正常に作動しない可能性がある
車用のエンジンオイルは車に特化して作られているため、バイクのクラッチが正常に作動することを保証できません。クラッチは、数枚のプレートが押し付けあって、エンジンの動力をタイヤに伝えます。
しかし、車用のオイルには摩擦を小さくする添加剤が使われているため、クラッチプレートが滑り、正常に作動しない可能性があるのです。
粘度が低い
車用オイルは粘度が低く作られています。バイク用オイルはクラッチとミッションを併用しているため、粘度が高めのオイルを使う必要があるのです。
そのため、車用オイルを使用すれば、ミッション内部のギヤが摩耗したり破損する可能性も否めません。最近の車用オイルは粘度が低い傾向のため、使わないようにしましょう。
バイク用オイルを車に使ってもいい?
バイクに車用オイルを使用できないことを紹介しました。もしかしたら「なら、車にバイク用を使うのは問題ないのかな?」と思う方もいるでしょう。バイク用オイルは車用に比べて高性能な物が多いため、使うこと自体は可能です。
しかし、車用オイルに指定されていない粘度のオイルを使うのは、100%安全とは言い切れません。さらにバイク用オイルは車用に比べて価格も高いため、車に使うのはコストパフォーマンスが良くありません。
まとめ | バイクに車用オイルの使用はおすすめしない!
車とバイクのエンジンオイルは、それぞれ性能が異なります。用途を守らなければ性能低下や故障の原因になる可能性があるためおすすめしません。愛車のコンディションを保ち、長く愛用するためにも適切なオイルを選択しましょう。