潤滑油

切削油による手荒れの原因とは?手を守るための対策も解説

機械加工をしている方であれば、切削油が飛び跳ねたり、手に付着したりすることがあるでしょう。切削油の種類や使用方法によっては、手荒れを引き起こす場合があります。この記事では、切削油で発生する手荒れの原因や具体的な対策方法について解説します。

切削油で手荒れが発生する原因

近年使用されている切削油には、人体に有害な物質は含まれていません。しかし、現状を見ると、切削油が原因で手荒れを引き起こしている方が多くいます。

実は、手荒れの原因は、切削油に含まれる化学薬品ではなく、以下の2パターンが多いのです。

  • 油分が汗腺を塞ぐ
  • アルカリ成分が皮脂を過剰に奪う

油分が汗腺に詰まることが原因で体外に出られない汗は、かゆみを起こし角質層を傷つけ手荒れを起こします。また、アルカリ成分によって皮脂が失われた皮膚は、細菌や外界の物理的ダメージに弱くなります。

つまり、手に油分が長時間付着すること自体が、手荒れの原因なのです。肌を守るためには、これらの原因を踏まえて対策を考える必要があります。

切削油の種類と人体への影響

切削油は以下の2種類に大別されます。

  • 不水溶性切削油
  • 水溶性切削油

不水溶性切削油は、水による希釈を必要としない切削油です。潤滑性・抗溶着性に優れ、精度が要求される加工に適している切削油といわれています。

不水溶性切削油は、油性剤・極圧添加剤・防錆剤などの成分の違いで、さらに不活性タイプ・活性タイプに種類分けされます。

水溶性切削油は、使用時に水による希釈が必要です。加工時の冷却作用を主目的として使用されます。引火の危険性が少ない反面、劣化の進行速度が早い特徴があります。

水溶性切削油は成分や見た目からエマルジョン・ソリュブル・ソリューションの3種類に分けられます。どの切削油も、経口的な場合以外人体に障害はありません。

不水溶性切削油の成分が肌に及ぼす影響

不水溶性切削油は、刺激作用や脱脂作用の強さの違いから以下の3成分に大別されます。

  • 鉱油
  • 脂肪油
  • EP油

含まれる成分によって肌に及ぼす影響が異なるため、それぞれの成分の特徴についてご紹介します。

鉱油

鉱油とは、石油・天然ガス・石炭などの地下資源由来の油を指します。

鉱油は、皮膚の毛穴や汗腺を塞ぐだけでなく、刺激作用や脱脂作用があります。これらの作用が原因で、発疹やひび割れが引き起こされるケースがあるでしょう。

脂肪油

脂肪油は、常温で液状をしている脂肪を指します。代表的な脂肪油として、オリーブ油・魚油などがあげられるでしょう。

一般的には、鉱油よりも刺激性が少ない成分として知られています。

EP剤

EP剤は別名「極圧剤」とも呼ばれ、圧力が局所的に強くかかる部分の金属の摩耗や焼き付きを防止する効果がある添加剤です。EP剤には以下の2種類があります。

  • 脂肪族の硫黄化合物・塩素化合物
  • 芳香族の硫黄・塩素化合物

一般的な脂肪族は刺激性が少ないですが、芳香族の中には刺激性が強いものがあるため、使用時は成分を確認しましょう。

また、塩化油と呼ばれる種類は、吸入すると肝臓障害発生のリスクがあります。

水溶性切削油の成分が肌に及ぼす影響

水溶性切削油は、アルカリ成分による脱脂作用に注意が必要です。

長時間手に付着すると、皮膚が乾燥し手荒れ・ひび割れの原因になります。ただし、脱脂作用の強さは家庭用洗剤と同程度といわれているため、過度に注意する必要はありません。

水溶性切削油は水で希釈して使用するため、濃度管理が重要です。濃度が濃過ぎると、アルカリ作用が強くなり、肌へのダメージも増加するでしょう。

とはいえ、薄過ぎると切削油の潤滑作用が失われるため、適切な濃度管理が必要なのです。肌と加工品質を守るために、切削油の説明書に記載されている内容にしたがって希釈しましょう。

切削油の手荒れを防止する方法

手荒れを防止するために最初にできる対策は、石鹸で手洗いをし清潔に保つ方法です。手に切削油が付いた状態で放置すると、汗腺が塞がれたままになります。

また、防錆剤と水溶性切削油の相性で手荒れが発生するケースがあります。可能な限り防錆剤に触れないように気をつけるだけでも肌の保護につながるでしょう。

肌を外的刺激物から守るためには、保護クリームが有効です。仕事前にケロデックスクリームを塗るだけでも、ケアに繋がります。

前述したとおり、水溶性切削油の濃度が濃いと肌がダメージを受けます。皮膚をアルカリ成分から守るために、適切な濃度管理をおこないましょう。

まとめ|手荒れは保護クリームで対策しましょう!

切削油は、脱脂作用や汗腺を塞ぐなどの作用で手荒れを引き起こします。人体への直接的な障害がないため、適度な手洗いや保護クリームの塗布などで対策可能です。

水溶性切削油を使う場合は、皮膚へのダメージを減らすために適切な濃度管理をしましょう。

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