鉱物性の一般作動油は、汎用性に優れているため、様々な油圧機械や油圧システムに利用されています。ただし、取り扱う油圧機械に適した作動油を選択しなければ、機械に大きなダメージを与えかねません。
この記事では、一般鉱物性作動油の特徴について解説しています。作動油のメンテナンス時期なども解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
鉱物性一般作動油とは
鉱物性作動油は、鉱物油をベースオイルとする潤滑油の一種で、油圧機械の摺動部分(しゅどうぶぶん)などに使用されます。様々な油圧機械への対応が可能なうえ、比較的リーズナブルに入手できる特徴があり、日本国内で最も幅広く利用されています。
鉱物性作動油は、一般作動油・耐摩耗性作動油・高粘度指数作動油などに分類され、それぞれ特徴が異なります。一般作動油は、酸化防止剤・防錆剤・消泡剤など、添加物を加えたもので「R&Oタイプ」とも呼ばれます。
作動油の種類
作動油には様々な種類がありますが、油圧システムに合わせて適切な作動油を使用しなければなりません。
作動油は大別すると下記の3種類に分類されます。
- 石油系作動油(鉱物性作動油)
- 合成系作動油
- 水溶性作動油
1. 石油系作動油(鉱物性作動油)
石油系作動油は、精製した石油と添加剤から構成されており、機械部品の摩擦や摩耗を低減が期待できる作動油です。広い温度範囲で安定した潤滑性能を発揮するため、多種多様な油圧機械の動力伝達用として使用されています。
種類もさまざまで、一般作動油・耐摩耗性作動油・高圧作動油などがあり、使用環境などによって適切に選択しなければなりません。
2. 合成系作動油
合成系作動油は、合成された「エステル」や「ポリグリコール」などがベースに使われており、燃えにくいというメリットがあります。さらに、酸化安定性や耐摩耗性が高く、油質の劣化や油圧機械の摩耗が少ないため、長期間の使用が可能です。
ただし、リン酸エステル系作動油は耐食性や耐腐食性、脂肪酸エステル系作動油は水分の混入に気をつけなければいけません。
3. 水溶性作動油
水溶性作動油は、主成分として水を含むため難燃性があり、高温で作業する作業場などでも安全に使用できる作動油です。また、一般的な鉱物系の作動油に比べ、環境にやさしくリサイクルが可能な点も特徴です。
比較的リーズナブルでコストパフォーマンスに優れていますが、水を含むためカビや錆などの発生を防ぐなどの管理が欠かせません。
鉱物性一般作動油に求められる性能
幅広い油圧機械に使われる鉱物性一般作動油ですが、さまざまな機械に対応するための性能にはどのようなものがあるのでしょうか。
鉱物性一般作動油に求められる性能は下記の5つです。
- 動力の伝達
- 劣化しにくい
- 潤滑性能
- 流動性
- 難燃性
1. 動力の伝達
作動油の目的は、油圧機械や油圧システム間の動力を無駄なく安定して伝えることです。動力伝達にロスがあれば、パワーが不足したり反応が遅れたりなどが発生し、品質低下やタイムロスにより生産性を落としかねません。
そのため、油圧機械や油圧システム内をスムーズに流れ、伝達ロスのない適切な作動油を選択する必要があります。
2. 劣化しにくい
油圧機械や油圧システムの作動中、作動油は高温・高圧にさらされ、熱による酸化・劣化が進みます。作動油が劣化すると酸や泥が発生し、油圧機械に悪影響が及ぶことで、生産性の低下や機器のメンテナンスコストの増大につながります。
そのため、作動油には酸化防止剤などの添加剤が含まれていますが、定期的な交換やメンテナンスが欠かせません。
3. 潤滑性能
ポンプや軸受、歯車などは、金属同士がこすれあって作動しているため、金属表面に油膜を形成し摩耗を防ぐ必要があります。さらに、歯車同士が噛み合って回転する際の圧力にも耐えなければなりません。
そのため、作動油には表面活性剤や極圧剤などの添加剤が含まれており、油膜の強度や耐荷重性能を向上させています。
4. 流動性
作動油は、油圧システムの温度変化や環境変化があっても、適度に流動していなければなりません。作動油の流動性が悪化すると、作動部分に油膜が形成されず、摩擦や摩耗が促進され油圧機械の寿命を縮めることになります。
とくに低温環境下での流動性は、油圧システムに大きく影響するため、改質剤が添加され作動油の性能を向上させています。
5. 難燃性
鉱物性作動油は燃えやすい特性があるため、近くに火気を使用する設備がある場合は引火のおそれがあります。よって、火気を使用する工場や作業現場は、燃えにくい難燃性の作動油を使用しなければなりません。
大量に使用する場合は、消防法上の規制対象になることもあり、燃えにくい・引火点が高いことが求められることもあります。
鉱物性一般作動油の交換時期の目安
鉱物性一般作動油の交換時期は、使用している油圧機械や油圧システムに明記されている推奨時期を参考にするのが一般的です。
ただし、明記されている推奨時期はあくまでも目安のため、使用環境や稼働時間なども考慮しましょう。さらに、定期的な点検や作動油の状態を確認することで、メンテナンスコストの削減にもつながります。
まとめ|油圧機械には適切な鉱物性一般作動油を!
鉱物性一般作動油は汎用性の高い作動油ですが、潤滑性能や流動性など、機械との適合には注意が必要です。
油圧システムに適した鉱物性一般作動油を使用して、メンテナンスコストを下げ、生産効率を上げましょう。