潤滑油

水溶性切削油の作り方は?分量の計算方法や不水溶性切削油との違いも解説

水溶性切削油を使って作業をしたいけれど「どのように使うかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、水溶性切削油の作り方を紹介します。混ぜる水の量を計算する方法や、不水溶性切削油との使い分け方も解説します。

切削に水溶性切削油を使いたい方は必見です。

水溶性切削油の作り方

水溶性切削油を作るには、原液と希釈用水を混ぜる必要があります。この時、必ず希釈用水を入れてから原液を入れ、混ぜましょう。

なぜなら、原液を入れてから希釈用水を混ぜるとゲル化してしまい、均等に混ざりにくくなるからです。

混ぜる方法に決まりはありません。棒で混ぜてもよいですが、攪拌機(かくはんき)などの混ぜる装置を使ってもよいでしょう。上手く混ざらない場合は、原液か希釈用水のどちらかに問題があると考えられます。

希釈用水は、日本の水道水を使用しても問題ないケースがほとんどです。しかし、希釈用水の水質が悪い場合はうまく混ざらない可能性があります。必ずしも原液に問題があると決めつけないように注意しましょう。

必要な分量の計算方法

水溶性切削油を作る際は、規定の分量で希釈しなければなりません。規定量を間違えると、うまく混ざらなかったり、効果が得られなかったりします。

しかし、規定の分量の計算方法がわからない方もいるはず。そこで、以下の2パターンの計算方法を紹介します。

  • 濃度から求める方法
  • 倍率から求める方法

それぞれ計算例を用いて紹介します。

濃度から求める方法

まずは水溶性切削油を作る際に、原液と希釈用水がどれだけ必要かを濃度から求める方法を解説します。

濃度が10%で100Lの水溶性切削油を作る場合、原液と希釈用水はそれぞれいくら必要でしょうか。

原液は100Lの10%なので、100×10%で10L必要です。希釈用水は100-10で90Lと求められます。

つまり、必要な水溶性切削油の量に濃度をかければ原液の量を導けるのです。

倍率から求める方法

次に水溶性切削油を作る際に、原液と希釈用水がどれだけ必要かを、倍率から求める方法を解説します。

倍率が40倍の100Lの水溶性切削油を作る場合、原液と希釈用水はそれぞれいくら必要なのでしょうか。

40倍に薄める場合、原液は100÷40という研鑽より2.5L必要なことがわかります。希釈用水は残りの100-2.5で97.5Lと求められます。

つまり、必要な水溶性切削油の量に倍率を割れば原液の量を導けるのです。

水溶性切削油の種類

切削油は水溶性切削油と不水溶性切削油にわけられます。そのうち水溶性切削油は水で希釈して使う切削油を指します。

水溶性切削油は水で希釈するため、発火しにくく冷却性に優れているのが特徴です。

また、水溶性切削油はJIS規格によって、さらに3種類にわけられています。

  • A1種:エマルション型の水溶性切削油
  • A2種:ソリュブル型の水溶性切削油
  • A3種:ケミカルソリューション型の水溶性切削油

それぞれの水溶性切削油について、それぞれ特徴を紹介します。

A1種:エマルション型の水溶性切削油

水溶性切削油は色と含まれている成分によって3種類に分類されます。

A1種の水溶性切削油は「エルマション型」と呼ばれ、10から30倍に希釈して使う水溶性切削油を指します。希釈後は乳白色になるのが特徴です。

鉱物油を多く含んでおり、水溶性切削油の中では最も潤滑作用が高い特徴を持っています。

A2種:ソリュブル型の水溶性切削油

A2種は10から50倍に希釈して使う水溶性切削油で「ソリュブル型」といい、希釈後は透明もしくは半透明となるのが特徴です。

水に溶ける成分のみが含まれているものと、水に溶ける成分と水に溶けない成分の両方が含まれているものがあります。

先述したA1種よりA2種の方が洗浄力や冷却効果は高いですが、潤滑作用は劣る特徴があります。

A3種:ケミカルソリューション型の水溶性切削油

A3種は「ケミカルソリューション型」と呼ばれる水溶性切削油です。希釈倍率は30から80倍で、希釈後は透明になる特徴があります。

潤滑作用がほとんどないデメリットもあります。また、浸透性が高く肌荒れしやすいため、取り扱う際にはこまめな手洗いやクリームでのケアをしましょう。

A3種は基油を含んでいるため、ほかの水溶性切削油と比べて高い冷却作用が期待できるのがメリットです。

不水溶性切削油との違い

先ほども紹介したように、切削油には水溶性切削油と不水溶性切削油があります。

水溶性切削油は水で希釈するのに対して、不水溶性切削油は原液のまま使う切削油です。水溶性切削油より潤滑作用があり、より高い品質が期待できますが、発火の可能性が高く危険物に相当します。

では、水溶性切削油と不水溶性切削油はどのように使いわけるとよいのでしょうか。

加工する金属の種類によって、錆びやすいものは不水溶性切削油、錆びにくいものは水溶性切削油を使ったり、粗い加工は水溶性切削油、制度が求められる加工は不水溶性切削油を使ったりします。

このように、用途によって適切な切削油を選びましょう。

まとめ:水溶性切削油を使って効率化を図ろう

水溶性切削油は希釈用水と原液を混ぜて使う切削油です。しかし、正しく作らなければゲル化して混ざらなかったり、効果が得られなかったりするケースもあります。

そのような状況にならないよう、水溶性切削油は分量を守って希釈し、用途によって使い分けて、切削作業の効率化を図りましょう。

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