オイル交換する際「どのオイルにすればいいの?」と迷う方がいるかもしれません。
エンジンオイルにはさまざまな種類があり、中でも「エステルオイル」は高級オイルと呼ばれています。
この記事では、エンジンオイルの役割や、エステルオイルの特徴について解説します。
目次
エンジンオイルの役割
オイルと聞くと、ヌルヌルした感触から「潤滑」というキーワードを連想する方がいるかもしれません。しかし、潤滑以外にもエンジンオイルには以下に示す6つの役割があります。
- 気密性の向上
- 潤滑性
- 緩衝性
- 清浄分散性
- 防錆性
- 冷却性
これから、それぞれの役割について解説します。
気密性の向上
エンジンオイルはパーツ間の隙間を油膜で塞ぎガス漏れを防ぐため、気密性が向上し、パワーロスが軽減されます。
エンジン内部にある「シリンダー」と「ピストンリング」の間には、わずかに隙間が空いています。隙間がある状態で車が走行すると、圧縮や爆発による圧力が逃げ、パワーロスが発生するのです。
潤滑性
エンジンオイルは、パーツの表面に油膜を形成し、金属同士の滑りを良くします。この潤滑作用によって金属表面の摩耗が軽減し、エンジンの寿命を延ばしているのです。
緩衝性
エンジンオイルは、金属同士がぶつかり合う衝撃を吸収し、音を抑える役割があります。
エンジンを駆動しているときは、常に金属同士がぶつかり合っています。金属などの硬い物体が衝突すると「カタカタ」や「コロコロ」などの音が発生するのです。
清浄分散性
エンジンオイルには、大きなスラッジを発生させない役割があります。
運転する以上、スラッジと呼ばれる汚れの発生を完全に抑えることはできません。スラッジ同士が凝縮し大きな粒子に成長すると、潤滑不良を引き起こしエンジンが摩耗する原因になります。
防錆性
エンジンオイルにはパーツに油膜を形成し、金属表面を空気や水分から守る役割があります。
多くの金属は、空気や水分に接触すると錆による腐食が進行します。パーツの腐食が進むとエンジンが壊れる可能性があるのです。
冷却性
エンジンは、ガソリンや軽油などの燃料の燃焼によって動力を生み出します。燃焼の際、発熱反応が起きるため、エンジン内部には熱が籠りやすいのです。エンジンオイルは、循環によってエンジンを冷却する働きをし、オーバーヒートを防いでいます。
エステルオイルとは
「エステル」とは、1970年代にMOTULが世界で初めてエンジンオイルに配合した物質です。エステルオイルは、潤滑油のベースである「ベースオイル」にエステルを配合したエンジンオイルを指します。
金属にくっつきやすい性質から、金属の摩擦係数を抑えエンジンの出力を上げられる物質として知られています。
エステルには、ジエステル・ポリオールエステル・コンプレックスエステルなどの種類があります。
エステルオイルの特徴
ベースオイルには、以下のような種類があります。
- エステル系
- 動植物由来
- パオ(PAO)
- 高度水素化分解基油
- 鉱物油
エステルオイルとほかのオイルを比較すると、それぞれ特徴が異なるため、それぞれ紹介します。
潤滑性能が良い
エステルオイルは、ほかのエンジンオイルと比べて潤滑性能がよいといわれています。潤滑性能の良さの秘訣は、前述した「金属にくっつきやすい性質」にあります。
エステルの金属に吸着しやすい性質が、エンジン始動時のドライスタートや油切れの防止に貢献しているのです。
水分に弱い
エステルの弱点は「水分」です。多湿の環境下では酸化が進みます。そのため、エステルオイルは、車の使用頻度が少ない方には向いていないといわれています。
とはいえ、メーカーの研究が進歩し、酸化・劣化しにくいエステルオイルが開発されているため、極端に神経質になる必要はありません。
オイル漏れの可能性
記事を読んでいる方の中には「エステルは、パッキンやシールなどを侵食し、オイル漏れを誘発する」などの噂を耳にしたことがあるかもしれません。
エステルが、パッキンやシールなどのパーツを膨張させる特徴を持つのは事実です。しかし多くの場合、オイル漏れが発生する原因は、車自体にあるといわれています。
そのため、エステル対応のパッキンやシールを使っていない車両以外でエステルオイルを使用するのであれば、オイル漏れを心配する必要はありません。
価格が高い
エンジンオイルは、価格帯を基準に見ると、低価格な鉱物油と高価格な合成化学油の2種類に大別されます。エステルオイルは、合成化学油に含まれます。そのため、ベースオイルとしての価格が高い特徴があるのです。
エステル系バイクオイルの特徴
エステル系バイクオイルは、パッキンやシールなどとの相性に偏りがあります。そのため、古いパーツが使用されやすい旧車よりも、新型車向けのエンジンオイルといえるでしょう。
エステル系バイクオイルのメリット・デメリットを紹介します。
メリット
エステル系バイクオイルといっても、配合率は1〜100%までさまざまな種類があります。高純度であれば、エンジンの負担が軽減され、始動性や燃費の向上が期待できるでしょう。
また、耐熱性能が高いため、長時間・長距離の走行でも劣化しにくい特徴があります。エステル系バイクオイルは、商品の種類が多く、それぞれのバイクにあったエンジンオイルを選べる点もメリットといえるでしょう。
デメリット
エステルの配合率が高くなるほど、価格も高くなるため、エステル系バイクオイルはコストパフォーマンスが悪いといわれています。
また、走行環境によっては、エンジン内部に水分が発生し、オイルの劣化が早まる可能性があります。短距離走行を頻繁に繰り返す乗り方をすると、空気中の水分がオイルに混ざり、劣化を早めてしまうのです。
まとめ:車の使用方法や価格を参考にエンジンオイルを選びましょう
エンジンオイルには、気密性の向上・緩衝性・防錆性など、さまざまな役割があります。高級オイルと呼ばれるエステルオイルには、潤滑性能が良い反面、水分に弱いなどの特徴があります。
エンジンオイル選びの際は、車の乗り方や価格を参考にしましょう。