車に使用されているオイルといえば、エンジンオイルやブレーキオイルなどを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、オイルの中ではマイナーな「デフオイル」も車にとっては重要な存在です。この記事では、デフオイルとは何かや、交換しないとどうなるのか、交換にかかる費用をご紹介します。
目次
デフオイルとは
デフオイルとは、ディファレンシャルギアと呼ばれる装置を動作させるために必要なオイルです。ディファレンシャルギアとは、車がカーブするために必要なパーツを指します。車が曲線上を走行するとき、内側のタイヤと外側のタイヤに回転速度の差が生じます。
回転速度の差を吸収するパーツがディファレンシャルギアなのです。ギアがあることによって、車はスムーズな旋回を実現できます。
ほかのオイルとの違い
車には、エンジンオイルやギアオイルなど、さまざまなオイルが使用されています。
エンジンオイルには、潤滑・冷却・洗浄・密封・防錆をする役割があります。主に、エンジン内部の保護をする目的で使用されるオイルです。そのため、エンジンオイルとデフオイルは異なるものを使用します。
ギアオイルは、トランスミッション・トランスファー・ディファレンシャルなどの駆動系装置に使われる潤滑油の総称です。そのため、デフオイルはギアオイルの中でも、ディファレンシャルギアに用いられるオイルといえます。
デフオイルを交換しないとどうなるのか
古いデフオイルをそのまま使用し続けると、摩耗や損傷の発生につながります。部品がダメージを受けるとカーブをスムーズに曲がれなくなる可能性があるでしょう。交換せずに放置し続けると、走行中に異音が発生したり、燃費が悪くなったりします。車の正常な動作と寿命を保つためにも、定期的な交換が必要です。
オイルの劣化を確認する方法
オイル交換が必要だと知っていたとしても、交換を忘れてしまうことはあり得ます。とはいえ、直接オイルを確認しなくてもオイル劣化に気づく場合があります。例えば、走行中にハンドルが振動したり、カーブでハンドルを切っても曲がりにくくなったりする場合は、オイル劣化が発生しているサインと考えられるでしょう。
そのため、異常に気づいた際は、劣化状況を確認するとともに、早めの対処が必要です。とはいえ、必ず症状が出るとは限らないため、定期的な点検は怠らないようにしましょう。
デフオイルの適切な交換時期
デフオイルは走行時以外でも、時間経過とともに酸化が進み劣化していきます。車の乗り方や周辺の環境によってオイルの劣化速度は変わるため、オイルの交換時期は厳密に決められていません。
一般的な目安は、2〜3年間または走行距離にして5万㎞程度で交換が必要とされています。カーブの多い山道などディファレンシャルギアに負荷がかかる運転をする場合は、交換時期を早めたほうがよいかもしれません。
交換にかかる費用
デフオイル本体の価格は、種類・ブランド・容量・品質などによって異なります。一般的な本体価格は1,000円〜1万円といわれています。
また、交換を業者に依頼する場合は、本体価格に加えて工賃も支払わなければなりません。メーカーによってかかる工賃は異なりますが、相場は2,000円程度と考えてよいでしょう。
デフオイルの交換方法
オイル交換には特別な資格が必要ないため、自分で行うことも可能です。作業自体はすぐに終わりますが、車体を持ち上げるためのジャッキなどのさまざまな工具を用意しなければなりません。そのため、初めて交換する場合は初期費用が多くかかるでしょう。
一方、業者に依頼する場合、工賃の発生と引き換えに、工具を揃える必要性がなくなります。また、プロに交換を任せてしまえば、予期せぬ事故や交換ミスのリスクを減らせるでしょう。
デフオイル漏れがある場合の対処法
車で出かけている最中にオイル漏れに気づく場合があるかもしれません。オイル漏れをしている車での走行は「整備不良」とみなされます。実際に違反を切られるケースは少ないかもしれませんが、道路交通法違反に抵触する点を覚えておきましょう。
オイル漏れの対処用に、一時的に漏れを止める「漏れ止め剤」があります。成分に含まれる添加剤のはたらきで漏れを軽減できるといわれています。漏れ具合が軽微なものであれば、試してみる価値があるでしょう。
デフオイル漏れの修理にかかる費用
オイル漏れの原因として、デフケースの破損やオイルシールの破損などが考えられます。破損している場所や状態によって、修理にかかる作業量や時間が異なります。そのため、かかる費用はケースバイケースです。平均的には5万円程度の修理費を覚悟しておく必要があるでしょう。
ミッション・デフ両方に使用できる兼用オイル
前述したとおり、車には使用する場所ごとに適したオイルがあります。とはいえ、オイルの種類が多ければ多いほど、誤給油のリスクも上がります。給油ミスによるトラブルを防ぐために「ミッションとディファレンシャルギアで兼用できるオイル」が開発されました。
兼用オイルは、ミッション・デフの要求性能を満たしているオイルです。交換の際は、兼用オイルの使用を検討してもよいかもしれません。
まとめ｜オイルの違いを理解して適切にメンテナンスしよう！
デフオイルはギアオイルのうち、ディファレンシャルを潤滑させるためにつくられたオイルです。
ずっと交換しないまま車に乗り続けると、燃費の悪化や異音の発生に繋がります。適切に交換し、車を長持ちさせられるように心がけましょう。