ドライブ好きの方であれば「ミッションオイル」「デフオイル」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。とはいえ、具体的に何が違うのか問われると、答えに詰まってしまう方が多いでしょう。この記事では、車に使われるオイルの違いや、自分で交換する方法についてご紹介します。
目次
車に使われるオイル
車は複雑な構造をしており、パーツに応じて最適なオイルが使用されています。車で主に使われているオイルは主に以下の4種類です。
- ミッションオイル(ギアオイル)
- デフオイル
- クラッチオイル
- エンジンオイル
これから、各オイルの違いや特徴についてご紹介します。
ミッションオイル
ミッションオイルとは、車のトランスミッション(変速機)に使用されるオイルを指します。主に、潤滑・冷却の役割を果たします。MT車のギアチェンジを滑らかに行う際に必要なオイルと考えてもよいでしょう。
AT車にもギア自体は存在するため、同様にオイルが使用されています。しかし、AT車の場合、ギアに使用されているオイルは「オートマチック・フルード」と呼ばれます。そのため、ミッションオイルは、一般的にMT車のトランスミッション用オイルを指して使われているのです。
デフオイル
デフオイルは、ディファレンシャルギア(デフ)の保護を目的に使用されるオイルを指します。
車が曲線上をカーブする際、内側のタイヤと外側のタイヤに回転速度の差が発生します。ディファレンシャルギアは、回転速度の差を吸収し、カーブのスムーズな走行を実現するギアです。
デフオイルは、後輪駆動車・4WD車内部にあるパーツ同士の潤滑や冷却をする役割を果たします。
クラッチオイル
クラッチオイルは「作動油」に分類されるオイルです。作動油とは、油圧装置で動力を伝達する際に使用されるオイルを指します。ミッションオイルなどの「潤滑」を主な目的とした油とは、使用用途が異なります。
クラッチオイルは、クラッチで発生した油圧をミッションに伝達する役割をもつオイルです。別名「クラッチフルード」とも呼ばれています。
エンジンオイル
エンジンオイルは、エンジン内部で潤滑・冷却・洗浄・密封・防錆の役割を果たすオイルです。高速で動作するクランクシャフトやピストンを保護する目的で使用されるオイルと考えてよいでしょう。
エンジンオイルやミッションオイルは保護する対象が異なります。そのため、パーツに合わせて適切に成分が調整されていますが、基本的には同じはたらきをします。
ミッションオイル・デフオイルを交換しないと性能が低下する
オイルは、車を使用すればするほど劣化していきます。また、水分や空気の影響で時間経過とともに自然と劣化していくものです。
劣化が進むと、潤滑・冷却などの性能が低下します。例えば、潤滑性能が低下したオイルを使用し続けると、摩耗によるパーツの破損や異音の発生につながります。劣化したオイルを交換せずに放置し続けると、車の不具合や故障の原因になるでしょう。
トラブルが発生してからの修理には高額な費用がかかる可能性があるため、定期的な交換をおすすめします。
ミッションオイル・デフオイルの交換時期
ミッションオイルとデフオイルでは、負荷や動作温度などの使用環境が異なるため、適切な交換時期に違いがあります。
ミッションオイルの場合、自動車メーカーと交換業者で推奨する交換域に違いがあります。自動車メーカーは、走行距離にして5万㎞を目安としている場合が多いでしょう。一方で、交換業者は2〜3万㎞を推奨しています。
とはいえ、推奨される交換時期はあくまで目安です。例えば、カーブの多い道を頻繁に走る場合、デフオイルを早めに交換する必要があります。悪条件での走行を続けると目安未満であっても異常が発生する可能性があるため、車の使用状況に応じて交換しましょう。
交換方法
オイル交換には特別な資格が必要ないため、業者に依頼せずに自分で交換することもできます。ミッションオイルとデフオイルでは、交換方法が異なるため、それぞれの方法についてご紹介します。
ミッションオイル
ミッションオイルの交換方法は、以下のとおりです。
- 必要な場合、ジャッキアップをおこない、ジャッキスタンドで車体を安定させる
- ミッションオイルの給油側についているボルトは外す
- トレーをセットし、廃油側のボルトを外す
- 廃油後、廃油側のボルトを締める
- 給油口からミッションオイルを給油する
- 10分程度待ち、必要であれば再度給油する
- 給油口のボルトを締める
- オイル漏れを確認する
- 試運転する
ボルトを締める際は、トルクレンチを使用しましょう。
デフオイル
デフオイルの交換方法は、以下のとおりです。
- オイル粘度を低下させるために、10分程度車を動かしオイルを温める
- 必要な場合、ジャッキアップをおこない、ジャッキスタンドで車体を安定させる
- 注入プラグを外す
- ドレンプラグを外す
- ドレンプラグを締める
- デフオイルを注入する
- 注入プラグを締める
- オイル漏れを確認する
- 試運転する
試運転の際は、カーブの曲がりやすさや異音の有無などを確認しましょう。
まとめ|ミッションオイル・デフオイルは定期的に交換しよう
ミッションオイル・デフオイルは、それぞれ保護する対象が異なりますが、どちらも定期的な交換が必要です。劣化したまま放置すると故障やトラブルにつながるため、忘れずに行う必要があります。自分でオイル交換する際は、オイル漏れや試運転を必ず実施しましょう。