ギアオイルとミッションオイルの違いをご存知でしょうか。
ギアオイルは、ギアの摩耗や故障を防ぐのに欠かせないため、適切なオイルを選択しなければなりません。
この記事では、ギアオイルの特徴や種類について解説しています。ギアオイルの購入、またはギアオイルの交換をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ギアオイルとは
ギアオイルとは、おもに車や機械の動力伝達系に用いられる潤滑油の総称です。
車ではトランスミッションやディファレンシャルに使用され、「ミッションオイル」、「デフオイル」と呼ばれ区別されています。
車に使われるギアオイルの種類や特徴は下表にまとめました。
ギアオイル | 動力伝達系に使われる潤滑油の総称 |
ミッションオイル | MT車のトランスミッションに使われる |
デフオイル | ディファレンシャルギアに使われる |
トランスファオイル | 4WD車のトランスアクスルに使われる |
次章では、ギアオイルを選ぶ際に気をつけるべきポイントについて解説していきます。
ギアオイルの選び方
ギアオイルは、用途によって異なる種類が使われ、要求される性能も違います。ミッションには、ミッションの構造や駆動力に最適なオイル性能が求められ、
デフオイルにはデフに適した性能が求められます。
そのため、用途別に応じたギアオイルの選び方を知っておかなければなりません。ギアオイルは、下記3つのポイントを確認して選びましょう。
- ギアオイルの規格
- ギアオイルの粘度
- ベースオイルの種類
それぞれについて解説していきます。
1.ギアオイルの規格
日本で販売されているギアオイルは、エンジンオイルなどと同様にAPI規格によって品質が定められています。
具体的には、ギアオイルの性質によってGL‐1からGL‐6まで等級があり、添加剤の割合などによって分類されています。
GL-1 | 車の用途には向かない |
GL-2 | 車の用途には向かない |
GL-3 | 一部の乗用車(ミッション・ステアリング・デフ)にのみ使用される |
GL-4 | ミッション・ステアリングギア・デファレンシャルギアに使用される |
GL-5 | シビアコンディションなディファレンシャルギアに使用される |
GL-6 | 非常に過酷な条件で使用されるため、車には使用されない |
車用として使われるのはGL‐3〜GL‐5が一般的です。
2.ギアオイルの粘度
ギアオイルの粘度は、SAE規格によって品質が確保され、最近では「80W−90」などマルチグレードのオイルが一般的です。
マルチグレード表記では、使用可能な最低気温、低温時の粘度と高温時の粘度が表記されています。対応可能な最低気温の目安は下表のとおり。
表記 | 使用可能な最低気温 |
70W | −55℃ |
75W | −40℃ |
80W | −26℃ |
85W | −11℃ |
車種ごとの取扱説明書に記載されている粘度を選択すれば間違いありません。
3.ベースオイルの種類
ギアオイルの性能に大きく関わるのが、潤滑油の基油となる「ベースオイル」です。
ベースオイルは、ギアオイルの8〜9割を占めているため、ギアの耐久性や性能を左右するといっても過言ではありません。
潤滑油のベースオイルはおもに下記の3つがあります。
- 鉱物油
- 部分合成油
- 化学合成油
ひとつずつ見ていきましょう。
鉱物油
鉱物油は、原油を蒸留・精製して作られたオイルです。流通量が多く入手しやすいオイルと言えるでしょう。
ベースオイルでは最もリーズナブルですが、酸化しやすく劣化が早いため、高負荷や高温での使用には適していません。
部分合成油
部分合成油は、鉱物油をベースに化学合成油を20%以上ブレンドし、性能をグレードアップしたオイルです。鉱物油の弱点である劣化しやすい特徴や、低温流動性を補い、かつ化学合成油よりリーズナブルな万能オイルです。
化学合成油
化学合成油は、精製段階で可能な限り不純物を取り除き、人工的に科学合成を施した高性能なオイルです。劣化や酸化に強く、低温流動性に優れて泡が発生しづらい反面、高性能ゆえに高価格になるのがデメリットです。
ギアオイル無交換による故障例
長期間ギアオイルの交換をしていない場合、劣化が進み潤滑性能が低下し、ギアのトラブルを引き起こしかねません。ギアオイルは、エンジンオイルと同様、適切なタイミングで交換しなければなりません。
ギアオイルを交換しなかった場合に考えられる故障は以下のとおりです。
- ギア鳴り
- 焼き付き・損傷
それぞれ見ていきましょう。
1.ギア鳴り
ギアの歯車は、高負荷・高圧で噛み合っていますが、ギアオイルの潤滑性・極圧性能によってスムーズに摺動しています。ギアオイルが劣化すると、潤滑性などが低下し歯車同士がきしみながら回転するため、ギア鳴りが発生してしまいます。
2.損傷・焼き付き
ギアオイルの劣化は、潤滑性能の低下から歯車をすり減らし、やがて傷や破損などの損傷に至ります。さらに劣化が進めば、歯車を保護している油膜が切れ、金属同士が直接ぶつかり合い発熱して焼き付きを起こしかねません。
まとめ|適切なギアオイルを定期的に交換しよう!
ギアオイルは、ミッションやデファレンシャルなど、適切な場所に適切なオイルを選択しなければなりません。さらに、ギアオイルも劣化するオイルであるため、エンジンオイルほどではありませんが定期的に交換しましょう。