車を所有している方であれば「オイル交換っていつやればいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。適切な交換時期を守らないと、車の故障の原因になります。この記事では、オイル交換の目安時期や、オイルの選び方について解説します。
目次
エンジンオイルの役割
車のエンジンは1分間に数千回転します。燃料の燃焼や高速運動などによるパーツの損傷をなくすことはできません。エンジンオイルは、パーツの損傷を最小限に減らすために大切なものです。以下で、エンジンオイルの6つの役割についてご紹介します。
潤滑
車を走行させると、エンジン内部の金属同士が擦れあい摩耗します。摩耗が激しいと車の調子が悪くなったり、修理が必要になったります。そのため、金属同士の摩擦は可能な限り抑制しなければなりません。エンジンオイルは、部品の表面に油膜を形成します。油膜によって金属同士の摩擦は大幅に抑制できるのです。
密封
シリンダーとピストンと呼ばれるパーツの間には僅かに隙間があります。隙間が空いた状態でエンジンが動くと、圧縮や燃焼による爆発による圧力が隙間から漏れます。その結果、駆動力の一部が失われてしまうのです。エンジンオイルには、パーツ間の隙間を油膜で覆い圧力漏れを防ぐ役割があります。
冷却
燃料の燃焼や摩擦のあるエンジンでは大量の熱が発生します。熱がこもり続けると車の動作に不具合が出たり、パーツの劣化が早まったりします。効率良く熱を排出しなければ、車の寿命が短くなるのです。
エンジンオイルは熱伝導率が良いため、接触したエンジンパーツから熱を吸収します。また、装置内部を何度も循環するため、熱を効率良く外に放出する役割があります。
洗浄
長い間車を使用していると、エンジン内部に『スラッジ』と呼ばれる燃えカスや酸化物が溜まります。スラッジが増えると、放熱性能の低下・エンジンノイズ・駆動力の低下などにつながるといわれています。
そのため、内部の不要物は定期的に除去しなければなりません。エンジンオイルは、パーツ表面にこびりついたスラッジを綺麗に掃除する役割があります。また、オイル交換によって汚れを外に出すことも可能です。
防錆
高温・高圧な状態で動作する多くのパーツには金属が使用されています。そのため、パーツが錆びつくとエンジン性能や耐久性能が低下します。考えられる錆の要因は「水分の付着」です。
外気との温度差によって発生した水分が金属に触れると、腐食が進行します。エンジンオイルはパーツ表面に油膜を形成し、水分の付着を防ぐ役割があります。
車のエンジンオイルを交換しないとどうなるのか
エンジンオイルは使用し続けると汚れていくため、定期的な交換が必要です。古いオイルをずっと使い続けると、車の燃費が悪化します。また、車に不調が出てもそのまま放置すると、冷却性能の著しい低下により『焼き付き』が発生する可能性もあるでしょう。
焼き付きが起きた車の修理には高額な費用がかかります。そのため、定期的にオイル交換し、エンジン内部を適切な状態に保たなければならないのです。
オイル交換の目安
オイルが劣化する速度は車の使用環境によって異なります。そのため、適切な交換時期は車によってマチマチです。とはいえ、一般的な交換目安は決められています。走行距離にして3,000㎞~5,000㎞または、前回の交換から3か月~6か月がよいといわれています。
しかし、シビアな環境で走行している方は、さらに早い交換が必要でしょう。例えば、エンジンが温まり切らない短距離走行を繰り返す場合は、オイルの劣化が早まるため、早めの交換をおすすめします。
エンジンオイルの種類と選び方
エンジンオイルにはさまざまな種類があります。自分の車にあったものを選ぶには、オイルがどのように種類分けされているのかを知る必要があるでしょう。以下で粘度・ベースオイル・グレードによる種類分けについてご紹介します。
粘度
『粘度』とは、エンジンオイルの粘り気を表します。ドロドロした高粘度オイルは高温になっても油膜を形成しやすいため、エンジンの保護性能が高いといわれています。しかし、燃費性能は期待できません。
一方、サラサラした低粘度オイルは、低燃費での走行が可能です。しかし、高負荷・高温での使用には向きません。
そのため、走行環境やオイルに求める性能をよく考えて選ぶ必要があります。オイル粘度は「0W-20」などのように表記されます。車種ごとに推奨粘度が異なるため、自分の車にあったものを選びましょう。
ベースオイル
ベースオイルとは、エンジンオイルの主成分に使われるオイルです。化学合成油・部分合成油・鉱物油の3種類に大別できます。合成油は性能が高く価格が高い特徴があります。
一方鉱物油は、劣化が早いものの価格が安い点が特徴的です。粘度を変えずにオイルの性能や価格を変更したい際は、ベースオイルで選ぶとよいでしょう。
グレード
グレードは「規格」とも呼ばれ、オイルの品質や性能を表します。API規格・ILSAC規格・JASO規格などが代表的です。グレードが異なると品質や性能の基準が異なります。例えば、API規格は省燃費性・耐熱性・耐摩耗性を基準にオイルのランク付けをおこないます。
オイルの値段と交換費用
エンジンオイルの種類にもよりますが、ディーラーに交換を依頼する場合は3,000円~10,000円ほどかかると考えてよいでしょう。車の総排気量で料金を分けているところもあります。ほかにも、カー用品店やガソリンスタンドでお願いすることも可能です。交換費用は、種類によりますが2,000円~4,000円といわれています。
まとめ:適切なエンジンオイルを選んで定期的に交換しよう
エンジンオイルを交換しないと、車に不調が出る可能性が上がります。最悪の場合、焼き付きを起こして高額な修理費用がかかってしまうことも考えられるでしょう。
オイル選びをする際は、車種や走行環境を考慮する必要があります。分からないことがあれば、プロのスタッフにオイルの選び方を聞いてみるとよいでしょう。