10W-30とエンジンオイルに表記されているのを見たことはありませんか。
見たことはあるが、何の数字かわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンジンオイルに記載されている数字とオイル粘度について解説しています。ご自身の車に適したオイル粘度を選択する参考にしてください。
目次
10W-30のエンジンオイルとは
「10W-30のエンジンオイル」は、10W-30の粘度特性を持ったエンジンオイルです。オイルの粘度はオイルの流れやすさ、流れにくさの指標となります。
エンジンオイルの粘度は、エンジンの性能や寿命、燃費性能にまで影響するため、適切に選ばなければなりません。
次章では、エンジンオイル粘度の見方について紹介します。
粘度の見方
粘度の表記は、国際基準のSAE規格によって定められています。数字とアルファベットからなり、数字が大きいほど粘度が高く硬いオイル、数字が小さいほど粘度が低く柔らかいオイルを表します。
例えば「10W-30」の、それぞれの数字やアルファベットの意味は下表のとおりです。
10 | W | 30 |
低温時の粘度 | ウィンター | 高温時の粘度 |
「10W-30」はマルチグレードと呼ばれ、低温から高温まで幅広い温度帯での使用に適しています。
粘度の違いによるオイル性能の話
エンジンオイルの粘度は数字の違い、つまり粘度の違いによってオイルの性能や性質が大きく異なります。そのため、車やエンジンの特性に合わせて、適切なエンジンオイルの粘度を選択しなければなりません。
粘度の高いエンジンオイル、粘度の低いエンジンオイルの違いによる特徴を、それぞれ解説していきます。
粘度が高いエンジンオイル
粘度が高いオイル、いわゆるドロドロとしたオイルは、高温時のエンジン保護性能が高く高負荷の使用にも強いのが特徴です。高温時でも、エンジン部品に厚い油膜を形成するため、部品同士を摩擦から保護し摺動性を保持しています。
ただし、流動性が低くエンジンの抵抗が増えるため、燃費性能が低下する可能性は拭えません。
粘度が低いエンジンオイル
粘度が低いオイルは流動性が高いため、気温の低い朝でもオイルが固まりにくく、エンジンの始動性に優れています。さらに、エンジンへの抵抗が少ないため、各部品の動きがスムーズになり、燃費の向上が期待できます。
ただし、油膜の形成が粘度の高いオイルほど厚くないため、高温高負荷走行にはあまり適していません。
適切なオイル粘度の選び方
エンジンオイルの粘度は、車の性能や経済性に少なからず影響するため、適切に選択しなければなりません。しかし、適切な粘度の選び方がわからないのではないでしょうか。
適切なオイル粘度を選ぶ際は、下記の2点を基準にすると良いでしょう。
- メーカー推奨の粘度を選ぶ
- 走行距離で選ぶ
それぞれについて解説していきます。
1.メーカー推奨の粘度を選ぶ
新車で購入した場合や、走行距離が少ない場合、車の取扱説明書に記載されている粘度のエンジンオイルを選びましょう。
各自動車メーカーは、車の特性やエンジンの仕様に合わせてエンジンオイルを開発、採用しています。そのため、誤った情報で自己判断するとエンジントラブル等になりかねないため、メーカー推奨の粘度を選びましょう。
2.走行距離で選ぶ
過走行の車は、エンジン各部の摩耗が進み、部品同士のクリアランスが広くなっていることも少なくありません。クリアランスが広くなったエンジンは、焼き付きなどの原因になることもあるため、粘度の低いオイルは適していません。
そのため、走行距離が増えてきたら粘度の高いエンジンオイルへの変更を検討してみるのも良いでしょう。
近年の主流は低粘度オイル
少し前までエンジンオイルの粘度といえば、10W-30や5W-30、10W-40などが主流でした。しかし、近年は0W-20や0W-16など、メーカー推奨で超低粘度のエンジンオイルが推奨されている車が増えています。
この章では、低粘度オイルが増えてきた背景や、低粘度オイルを使用している車種について解説します。
1.ハイブリッド車・アイドリングストップ車
環境意識の高まりから、排出ガスを減らすため開発、販売されてきたのがハイブリッド車やアイドリングストップ車です。
ハイブリッド車やアイドリングストップ車は、エンジンが常に回り続けているわけではありません。そのため、高温側の粘度性能より低温側の粘度性能を重視しなければならず、超低粘度化が進んだと言えます。
2.ターボ車(ダウンサイジングターボ含む)
通常ターボ車は、高速回転するタービンを冷やさなければならないため、粘度の高いオイルが推奨されていました。しかし、近年のターボ車、中でもダウンサイジングターボ車には低粘度オイルが使われるようになりました。
ダウンサイジングターボ車は、排気量を小さくして燃費の向上を図るのが目的のため、低粘度オイルが採用されています。
まとめ|エンジンオイル選びは適切な粘度が重要!
10W-30と書かれたエンジンオイルには、低温時と高温時のオイルの粘度が表示されています。
オイルの粘度は、エンジンにとって非常に重要な項目で、車の走行性能や燃費性能にまで影響を及ぼします。
そのため、車ごとに推奨されている最適なオイル粘度を選択し、長く快適なカーライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。