「ドリフト」という言葉を聞く機会が増えたとはいえ、意味や魅力がわからない方もいるでしょう。ドリフトとは、横滑りする車を上手にコントロールしながらカーブを曲がっていく運転技術です。
この記事では、ドリフトの概要や歴史、魅力などについて紹介しています。併せて、代表的なドリフト大会の紹介もしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ドリフトとは?普通のコーナリングと何が違う?

ドリフトとは、カーブ旋回中に後輪、あるいは4輪すべてを滑らせながら走る高度なドライビングテクニックです。ラリーやジムカーナなどの、タイムを競うレースではコーナーを速く走行するためのテクニックとして用いられます。
カーブを旋回する際は、前輪のタイヤをカーブ出口方向に切り、タイヤを滑らせず走行するのが一般的です。一方、ドリフト走行は意図的にタイヤを滑らせ、右カーブの場合はハンドルを左に切り、滑り具合を調整しながら旋回します。
ドリフトは日本発祥の文化

ドリフトが流行したのは、1980年代とも1990年代とも言われています。1990年代には、車雑誌が企画の一つとしてドリフト大会が開催されました。モータースポーツの一種目として確立したのは、2001年に全日本ドリフト選手権が設立されてからです。今では、日本のみならず、世界の40ヶ国以上でシリーズ戦が開催されています。
ドリフトの魅力

ドリフトは、速さを競うレースで非日常体験やエンタメ性を格段に上げる要因の一つです。レース以外でも活躍する場面もあり、レーサー以外でも使用するタイミングがあります。ここではそんなドリフトの魅力について解説します。
魅力1. 見た目の派手さ
ドリフト競技の魅力で最たるものは、なんといってもその見た目の派手さでしょう。車が白煙をあげながら、さらにタイヤのスキール音を鳴らしながら横滑りする様子は、普段ではありえない非日常体験です。
通常ではありえない角度でコーナーに侵入し、不安定な状態の車を巧みにコントロールしています。レース中にドリフトをするドライバーの運転技術は、観戦者を魅了します。
魅力2. 緊急時の対応ができるようになる
ドリフトにおける運転技術は、乾燥路面だけではなく、雨天時や雪道などでも応用できます。乾燥路面と比べ、雨天路面や雪道は摩擦が少ないため、同じ速度でもタイヤが滑りやすくハンドル操作も難しくなります。
そのため、ドリフト技術の習得は、車が滑っても冷静にコントロールできるため、事故のリスクを減らせるでしょう。
ドリフトの注意点

ドリフト競技は、パフォーマンスやエンタメ性が重視されますが、ドリフトは路面状況に合わせた実用的な運転技術の側面があります。
ドリフトについて理解を深め、さらに競技を楽しむため、以下よりドリフトの注意点を紹介します。
注意点1. 高い運転技術が求められる
ドリフトは滑る車をコントロールするため、アクセル操作やブレーキのタイミング、ハンドル位置の調整など高い運転技術が求められます。スピードが出ているため、運転操作を誤るとスピンや横転、車や人への衝突など重大事故になりかねません。
ドリフトをしてみたい方は、安全にドリフトができる施設や、体験会や教室などで経験者に教わるのがおすすめです。
注意点2. 車への負荷、環境への負荷が大きい
ドリフトは、通常では負荷のかからない場所へ大きな負担がかかります。例えば、タイヤの減りが進み、ドライブシャフトやタイロッドにかかる負荷が増えて折損や破断など、寿命が縮まる原因となります。
また、タイヤの摩耗によるスモークや、剝がれたタイヤかす、アスファルト舗装の剝がれなど、環境汚染につながりかねません。
世界が熱狂!ドリフト選手権とは?

ドリフト競技は、単なるスピード競争ではなく、ドライバーの高度なテクニックや芸術性が評価される競技のため、人気が過熱しています。
日本国内と海外の代表的なドリフト選手権を、以下より紹介します。
全日本プロドリフト選手権|D1GP

2001年にスタートした全日本プロドリフト選手権(D1GP)は、ドリフトをモータースポーツの一種として確立させました。D1GPからは、多数の人気ドライバーが誕生し、その後プロのレーシングドライバーに転向した例は少なくありません。
D1GPは、1年を通したグランプリシリーズであり、単走と追走で競われます。以下より、単走と追走について紹介します。
技術を競う単走
D1GPは、単走で高得点だったドライバーが、追走で勝ち抜き戦を勝ち上がっていくルールです。
単走は、審査員の評価と、D1独自の機械採点「DOSS」による角度やスピードで各ドライバーの技術が採点されます。進入角度やスピードが高いほど高評価となり、一方でスピンやドリフトの戻りなどは大幅な減点対象となります。
勝ち抜き戦の追走
追走は、単走で勝ち上がったドライバーが、1対1で勝負するトーナメント方式です。先行と後追いが順番に入れ替わり、ドリフト角度の深さや飛距離の長さなどで採点されます。遅い相手にスピードを合わせなければならないため、速い車やパワーのある車が勝てるとは限りません。
今にもぶつかりそうな2台のバトルは、手に汗握るD1GPの真骨頂です。
ドリフト世界王者決定戦|FIA IDC

FIA IDC(インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ)は、FIAが主催する国際ドリフト大会であり、世界各国のトップドライバーが競います。2017年9月30日と10月1日に開催された第1回大会では、並みいる強豪を抑え、日本の川畑真人選手が総合優勝を飾りました。
まとめ|ドリフトは究極のマシンコントロール技術

ドリフトは、見た目の派手さに目を奪われがちですが、卓越したマシンコントロールが要求されます。そのため、何度も繰り返し練習しなければならないため、ドリフトは一朝一夕には習得できません。
ただ、雨天時や雪道などでスリップした際の対応方法として、体験レッスンや走行会などに参加してみるのもよいのではないでしょうか。